niime 百科
Encyclopedia of niime
「コシラエ会」で愉しむモノづくり
Enjoyable creation at 'Koshirae kai.'
2019 . 06 . 01
今年2月からスタートし各祝日を選んで開催されているtamaki niimeの「コシラエ会」。
これまでに天然醤油づくり、インディゴ染め、シルクスクリーンプリント、使用済みダンボールを使った小物づくり、コットンの種植えを実施。
様々な創り手を講師に招き、希望者が価値あるモノづくり体験を楽しめるワークショップの場だ。
今回のniime百科では、このイベント運営を担当するスタッフである藤本隆太と玉木に、「こしらえ会」という新たな取り組みについてじっくりと聞いてみた。
藤本「ワークショップをやろうというアイデアはすでに昨年からあって、「コシラエ会」というネーミングも決まってたんです。社内でミーティングするとやっぱりモノづくりをしている会社でワークショップをすることに対してスタッフからも良いね、何かやりたいねという声が上がっていたんですね。それで企画を練って今年からやらせてもらう事になりました。講師の人選に関しては会社の方向性になるべく合致した方を選んでいるつもりなんですけど、あまり難しいものではない方が良いかと思っていて。子どもでも出来て大人も愉しめるモノづくりの根本的なところ、作って楽しむ・作って知るという部分で参加者の方、ひいてはウチのスタッフも刺激を受けられるようなイベントとして発信したいなと。」
玉木「「腹ごしらえ会」のモノづくりバージョンって感じやね。基本的な考え方は全く同じだと思う。食べるものとつくるものの違いは…食べ物の場合は無くなっちゃうんですよ。残せないってデメリットもあるし残らないメリットもあると思うんだけど、“こしらえる”ってことは、私たちもゴミを極力減らそうと思っているからこそ、無駄なモノは作っちゃいけないと。体験はしたいんだけどそれによってゴミを生み出したくはないから、大事にしたいモノを創れるワークショップにしたいね、ってゆうのはあって。」
藤本「やっぱりその場で作るだけで終わりにしたくはないと思っているので、体験することで、こしらえたモノをずっと長く使ってもらえたりだとか、あとは染色することで古いモノを蘇らせたりだとか、そのようなことを体験してもらえれば、それがお客様自身がモノづくりというものを深く知ってもらう・深く知りたいと思うきっかけに繋がらないかなと考えてやってます。」
―「コシラエ会」をきっかけに、単にモノを買うだけではなくて自ら作ってみる、大量生産・大量消費に基づく現代のライフスタイルを見つめ直すことにも繋がるのではという気もするんですが。
藤本「ふたつ狙いがあって、モノづくりを好きになる、やってみることでモノづくりって一体なんだろう?と考えることに繋がっていくというのがひとつで、もうひとつは、西脇のまちやこちらの比延エリアに人が集まるコミュニティ的な役割のイベントとして、この「コシラエ会」が広がっていくのが良いなと、個人的には思っています。モノづくりには興味があるんだけど、どうすればいいんだろう、どこでやってるんだろう?というところからスタートする人のハードルを下げたいと思っているのと…」
玉木「駆け込み寺やね。」
― モノづくりに踏み出してみたい人のための、ですね。
藤本「なので、自分をもっと表現したい方とか、モノづくりやってみたいという方とか、それは染色であったりダンボールに細工をすることであったり、今まで数回やって来た中で、やっぱり皆さんモノづくりしたいけど、こうゆうワークショップなかなか無くてとか、どこに行ったら何が出来るのかよくわからない、けどやりたいってゆう方がやっぱりいらっしゃって。それも県内だけじゃなく、県外からも来てくださったり。このtamaki niimeのある比延地区っていうところに、このようなイベントとかが好きな人がもっと集まってくる一つのきっかけになればと。」
玉木「移転した最初の頃に、ここをコミュニティにしたいという話をしなかった?」
― それは常々聞いてましたよね。
玉木「ですよね。それがちょっとずつ仕掛けられるようになってきた感じかな。」
藤本「「コシラエ会」の企画を進める中で、全国を飛び回っている方たちに講師をお願いするので、いろんなお話を伺う機会があるんです。
3月にインディゴ染めのワークショップで来て下さった岡山の「EVERY DENIM」の方たちとも話をしてたんですけど、関東や東京、そして田舎でもイベントをやる中で、都会だと色んな人がいて多種多様で色んなモノがあって、そこへ行けば何か出来るというコミュニティが成り立つんですけど、田舎の方へ来ると、一日インディゴ染めをやるだけで50人から100人近い人が集まったりする。
それだけ何かをやりたいけど、どこで何をすれば良いのかわからない人とか、あとはコミュニティ自体に飢えてる方というのが、特に地方には多いんですよっていう話を聞いたんですよ。継続して今「コシラエ会」をやってますけど、参加してくださる方ってだんだん増えて来てて、もっと浸透すればもっと楽しんで、もっと人が集まって来てくれるんだろうなと。それをほかの処でやるよりも、ウチの会社の、実際にモノづくりしている人間がすぐ近くにいる場所で、自分でモノづくりをやる体験って、他所ではまず出来ないと思うんですよ。
そんな体験が出来る場所としても、もちろんすごく良い場所ですし、こちらがもっと面白い提案を出来れば、もっともっと喜んでもらえるイベントになると思うんで、そういう意味でもやりながら徐々にもっとこうしたいな、というのが固まって来てる感じですね。」
― 回を重ねるごとに「こしらえ会」の方向性が定まって来ていると。
藤本「そうですね。元々の方向性としては地球環境への配慮のこともあるんですけれど、まずは誰でも出来るところから入ってもらうっていうのがあって。そこからもっと人の繋がりってゆうものを強調出来るイベントなんじゃないかなと、今ちょっとずつ考えてはいます。」
― モノづくりしたいけど具体的な方法が分からないという方に場を提供して、何かひとつ体験することで、そこからその人なりのモノづくりに目覚めたりすることもあるのではないでしょうかね。
藤本「そこは参加してくれた方次第だと思ってはいるんですけど、ただ何かをやったからああ良かったで終わらずに、これをやったことで物事の見方がちょっと変わったとか、あ、こういうことが出来るんだ、というところに扉が開くようなイベントだったら良いなと思っています。」
― そこでひいてはtamaki niimeのモノづくりや作品の見方も深まるかもしれないですね。
藤本「そうですね。そういう風になっていって、僕らが一点物のモノづくりをしてるってことの価値を感じてもらえるならば、それも素晴らしいことだと思います。」
― 自らの手でこしらえるモノづくりなので自ずと一点物になるでしょうし。
藤本「手を動かすってことはやっぱりとても楽しいことだと思います。この体験を小さな子どもでも出来るというところも良いかなと。あとモノをつくるだけではなくて、何かを育てるってことで5月にはコットンの種植えにも取り組んだ訳ですけど、そこはtamaki niimeらしい部分ですね。コットンってどうやって出来てるんだろう?と考えるひとつのきっかけになるんであれば、それはすごくいいことかもしれないと思って提案させてもらったんです。今後も何かモノをつくるだけではなくて、それが食べるものであっても良いと思ってますし。例えば天然の材料を使っての醤油づくりも何かをこしらえることだと。カタチに残るモノだけでなく、そういう自分の食べるものだったり自分の着るものの原料になるものだとか、そんなところから何か、あ、そういうことなんだと深く知ってもらうきっかけになれば。」
玉木「私は自分でつくるのが楽しいし、面白いモノを買うのも好きだから、創り手でもありながらお客さんにもどっちにもなり得るんですよね。でも多くのお客様は普段モノづくりをされてはいないだろうし、消費者としてしかここに来ることのないこれまでだったけど、「tabe room」が出来たことで、買うだけじゃなくてLabでモノづくりの現場を観て知って、ご飯を食べて帰るお客様も増えてきた。tamaki niimeはこういう想いでモノづくりをしてるってことを知ってもらいたいという意味では、必ず買って頂かなきゃいけないかというと、そうではないと思う。
それこそゴミになるんだったら買ってほしくはないし、しっかり使って頂けるならぜひ買って頂きたいけれど、買い物しないからここに来れないと以前言われたことがあるの。tamaki niimeという名前は知ってるけどファッションには興味がないから行く用事がないんですよねと言われたことが、今色んな事をやってるきっかけなんです。私たちがどういう想いで創ってるのか、ぜひ色んな方に知って頂きたいと思うけれども、買うっていう行為じゃない窓口をつくりたいと思って1周年記念イベント「ひとつ会」をしたことからスタートして、それがちょっとずつ枝葉を広げていってる中での「tabe room」だったり、「コシラエ会」だから。極論はね、買わなくてもここへ来て愉しんで頂けるならそれもアリだという考えなんです。もちろんそこで作品を買って使って下さったら更に嬉しいけど、愉しい空間だと思って頂いたらそれはそれで嬉しいし。そうして広まっていって、「コシラエ会」でのそんな色んなモノづくりを好きになった人がもしかしたら私たちのモノづくりに共感して下さってここで働きたい、ってなればもっと嬉しいし。色んな“出会いの場”を創っていくという試みのひとつにはなってるかな。」
「コシラエ会」とモノづくり、そしてtamaki niimeのあり方を巡ってのトークは更に深まりつつ、次回に続きます。
7月15日・海の日に開催される「コシラエ会」のお知らせも。どうぞお愉しみに。
書き人越川誠司
The tamaki niime ‘Koshirae kai’ launched in February of this year and has been held on each national holiday.
So far, we have had natural soy sauce making, indigo dyeing, silkscreen printing, small handcrafts using old cardboard boxes, and cotton seeds sowing. It is a workshop place where various creators are invited to each lecturer, and the participants can enjoy valuable creative experiences.
This time, in the niime encyclopedia, I asked Tamaki and Ryuta Fujimoto, who is one of the ‘tamaki niime’ staff and in charge of this event management, about the new trial; ‘Koshirae kai’ thoroughly.
- Fujimoto
- “We already had the idea of the workshop last year and even named it ‘Koshirae kai’. During company meetings, our staff often talked about it excitingly since we are a creative company. So we have drawn up a plan to start it this year. When we select an instructor, we try to choose the one who fits the sense of our company’s direction. Something simple that even children can do and adults can enjoy. The basics of creation; people can enjoy and learn through creating. In this part, we would like to hold the events that both participants can be excited.”
- Tamaki
- “It’s like a creation trial of ‘Hara goshirae kai’. I think the basic idea is the same. The difference between food and creation is … the food will be gone. We cannot keep it. It is a disadvantage. At the same time, it is a benefit. We have been trying to reduce waste, so the ‘creation’ should not be something wasteful. We want to experience; however, we don’t want to create more garbage. That’s why we would like to hold the workshop where we can create something meaningful.”
- Fujimoto
- “I hope that the workshop should not be just an event. By experiencing it, I hope that the participants keep their creations for a long time. Furthermore, for example, dying recreates old belongings; I hope that kind of experience will make the customers better understand, and they will have a chance to be more interested in ‘creation’. “
– I feel that ‘Koshirae kai’ is an opportunity to lead the people to not only purchasing but also making on their own, as well as reconsidering the modern lifestyle based on mass production and mass consumption.
- Fujimoto
- “Personally, I have two goals in mind. One is to make more people like ‘creation’; leading to the thought, “What is ‘creation’?” by doing it. The other one is that this ‘Koshirae kai’ will become a community event for Nishiwaki and Hie area where people get together and expand its role. Also, for the people who are interested in creation but don’t know how or where to start…I hope to lower the hurdles for them. “
- Tamaki
- “It’s like ‘a safe haven’ for an emergency, right?”
– For those who want to step into the creative process, right?
- Fujimoto
- “Yes. Many people are looking for this kind of workshop. To express themselves or to make something, for example, dying or cardboard box handcraft. After having held our workshop several times, we realized that more people, even from other prefectures, are looking for this type of workshop if it provides a spark for more people to like this kind of event and gather in the ‘tamaki niime’ Hie district. “
- Tamaki
- “When we first moved here, didn’t we talk about making this place the community?”
– You’ve been talking about it.
- Tamaki
- “Yes. Finally, it’s started working. “
- Fujimoto
- “Planning the ‘Koshirae kai’, we ask the instructors who are flying around Japan to give lecturers, we have opportunities to hear various stories.
– The direction of the “Koshirae kai” has been more determined each time, right?
- Fujimoto
- “Yes. Originally, we were considering the global environment. First of all, we started with something anyone can do. Then we should make the event more emphasizes the bond with people. That’s how we are thinking … by degree.”
– By providing an opportunity for the people who want to make things but don’t know how, and have an experience, they may be able to realize their way of making things…
- Fujimoto
- “It depends on the participants, I guess. However, I hope it won’t be just an experience for them…like…it was fun and it’s over… I hope that it changes the way the participants see things. Like…oh, I can do this… It would be nice if the event could open the door. “
– It may lead to a more in-depth view of the ‘tamaki niime’ creation and works.
- Fujimoto
- “Indeed. It is wonderful that people will feel the worth of our creation.”
– Since it is the participants’ handmade, it comes to be the only one creation.
- Fujimoto
- “I think it is enjoyable to use hands. Even small children can experience this. It’s nice. Not only creation but also raising something….So we have tried sowing cotton seed in May. That is very tamaki niime-like. I suggested that it should be a chance for people to start thinking “How cotton grows?” After all, if we have a chance, it doesn’t have to be something to keep. Maybe something to eat…I think it’s okay. For example, it is making soy sauce using natural ingredients. Not only something lasts but the elements for something to eat or something to wear. I hope it makes them start thinking deeper. “
- Tamaki
- “Since I enjoy creating things by myself and I also like to buy interesting things, I can be both a creator and a customer. However, most customers usually don’t create things. So they only come to this place as consumers. Now that we have ‘tabe room’, more customers come to see and learn our creations in the lab, have lunch and go home, not just for shopping. We would rather people to know that ‘tamaki niime’ creates things with this kind of thought. So they don’t always have to buy. If our products are just wasted, I would like them not to buy our creations; however, if they use them properly, I would love them to buy. Once I heard that a customer couldn’t come because they don’t shop. She knows the name; ‘tamaki niime’, but she was not interested in fashion, so she had no reason to visit our shop. That is one reason we are trying different things. We would like to have opportunities not just to sell but to share our ideas with people. That’s why we started the first-anniversary event ‘Hitotsu kai’, and it expands ‘tabe room’ and ‘Koshirae kai’. After all, even if they don’t shop, we are happy to see them enjoy visiting and being here. Of course, we are more satisfied if they buy and use our products. If this expands, and someday the people who attended ‘Koshirae kai’ and come to like our creation end up working us, we will be delighted. I guess ‘Koshirae kai’ is part of our trial to make a ‘place for encounter’. “
We will continue talking about ‘Koshiae kai’, creation and the whole concept of ‘tamaki niime’ more to the next time.
Please look forward to the announcement of ‘Koshirae kai’, which will be held on July 15; Marine Day.
Original Japanese text by Seiji Koshikawa.
English translation by Adam & Michiko Whipple.