niime 百科
Encyclopedia of niime
niime20分ハミ出し対談
ルーツ・原点について〈後半〉
niime's a little over twenty-minute talk
About roots〈continued from the first half〉
ルーツ・原点について〈後半〉
About roots〈continued from the first half〉
2019 . 12 . 01
〈前回からの続き〉tamaki niimeという、“only one”なブランドをどう導いてゆくのか?そのためのストイックで弛みない思考・実践を繰り返す玉木と、より本能的な感覚を働かせブランドの方向性を察知してゆく酒井。今再びふたりの意識は原点・ルーツへと回帰した。
玉木「今の場所に引っ越して来てからアタマで考える系がすごく多かったよな。」
酒井「多かったな。」
玉木「結局よくわからなくなってきて、ウウッてアタマがパーンと破裂しそうになって。」
酒井「アタマで考える人って、なんか意識の振り幅というかブレというかが大きくなるよな。でも“身勝手”な人って好き勝手に動いてるようでいて、実際は軸がブレてなくて振り幅が安定してなくない?お前みたいなタイプって振り幅が激しいから。」
玉木「わかったよ。“身勝手の極意”になる。」
酒井「だから、ものごとってシンプルなんやって。」
玉木「私常に考えてるから、でも「考える」ことと「動く」ことが一緒について来ないとイライラするんですよ。」
― 「考える」ことが好きですもんね。そして「実践・実験する」ことで体得してゆく。
玉木「私が原点に戻ったって言ったのは、結局じゃあ何が問題か?ってゆうのは、さっき言ってたようなことはこの播州織の産地でも一緒なんですよ。ホントに先人が死にものぐるいの努力をされて今があると思うんですよね。でもそれをやり遂げたのは今の世代の人たちではないでしょう?もちろん私もやってないわけだからエラそうなことは言えないんだけど。そこの“魂”ってあるでしょう?最近の若い人たち見てると冷めてる。人生諦めてる気がするねん。情熱がないねん。」
酒井「確かにそうやな。情熱ないよな。」
玉木「でも私たちもさぁ、若い時がまともじゃなかったってわかってるから。」
― バカやってたな、と。
玉木「そう。だからこの年になったからそう言えるのかなとも思うんですよ。上の世代の人たちってずっとそんな風に思って来たのかな?私たちが20歳くらいの時に40歳くらいの人たちはなんだ根性ねえなって思ってたのかな?それが繰り返されてるのかな?それならそんな気にしなくて良いかなとも思うねん。」
酒井「昔大阪にいた頃、知人のアーティストの奥さんに、あなたはどっちかだと言われたことがあって。」
玉木「将来橋の下にいるか、金持ちになってるか、どちらかよ彼は、と酒井が言われたの。」
酒井「そうゆう意味じゃそこが自分の原点というか、北と南みたいな両極端な可能性があって。」
― そういえば、玉木さんも酒井さんも過去これまで自分を曲げたり屈折したりせずに生きて来てますよね。
玉木「屈折ってなに?なんのこと?」
― 人間、社会の壁にぶつかったり、自分を曲げたりとかよくあると思うんですけど、素直にここまで来てるというか。妥協をせずに自分を貫いて来てるというか。
玉木「貫いて来たね、そうゆう意味ではね。」
― 曲げてないでしょう?
酒井「曲げてないですね。」
玉木「女のくせに、と言われたことはあるよ。」
― ひねくれてないじゃないですか。
玉木「だって気にしないもん。」
― 裏表もないし。レアな人たちかなと。
玉木「レアなん、これ?普通じゃないの??」
― 普通は自分を隠したりとか…
玉木「なんで?」
― いや、自分を出さないでいよう、とか。
玉木「そうなるんだ…。」
― そういうのないでしょう?
玉木「周りのことなんて気にしたことないもん。」
酒井「そんなの、俺の方が更にないよな。」
玉木「(酒井を見て)ないよなぁ。」
― これはふたりの原点に繋がる話かと。福井の勝山という街がそういったのびのびとした環境だったのか…
玉木「いやそんなことない。このふたりだけが例外だと思う(笑)。たまに帰ると人のウワサ話ばかりでウルサイなぁと思うけど…どうでもいいことやな?」
酒井「うん。どうでもいい。」
― それはどこの土地でも同じだと思いますけどね。
玉木「目の前のこと愉しんだ方が愉しいじゃんね。」
― いや、そうスパッと言えちゃうでしょう?
玉木「うん。」
― 普通なかなか言えないと思うんですよ。
玉木「なんで?? (酒井に)愉しい時は愉しいよな、どうでもいいよな、周りなんかな?」
― …。
玉木「ほんとにそう思う。心から。」
― それは本心からそうなんだと思います。
玉木「生きることが愉しいじゃない?毎日毎日が。仕事が趣味だから愉しくてしょうがないって言うと、仕事が愉しいなんて意味がわからないみたいな顔をされたりするけど。なんで愉しくないの?ずっと愉しかったよな人生?」
酒井「そうやな。愉しくないって思ったことないよな。」
― 普通の人は、その…
玉木「思い通りに出来てないから愉しくないってことか。」
― 他人に遠慮したり。
酒井「あ、それがないんや、俺。」
― 自分を偽ったり。
玉木「人に遠慮とかしたことない。」
酒井「嫌っと思ったことはやらなかったし、俺は。」
玉木「…私はなんとかするわ。」
酒井「俺は愉しいと思ったことしかして来なかったもん。」
玉木「私は全部が愉しいと考えてして来た。テスト勉強すらも愉しんでやってきた!自分でこう、これ覚えたら100点満点!みたいな。達成するってことに歓びを見出してたから。」
― やらされてる感全くないんですね。
玉木「全くない。自分でやりたくってやってたわけやから。やれって言われてないし。親も宿題やれとかって言わなかったかも。」
― すごいのびのび。
玉木「うん。でも後から自分がシンドくなるのわかってるから、早めに片付けとこうっていうタイプ。」
酒井「俺は違うわ。やらされてると感じたらもうや〜めたって言って次行く。」
― 好きなことやるタイプ(笑)。
玉木「やるべきことやらなかったタイプ(笑)。」
― 玉木さんは先にパッパッとやっちゃうタイプで、やれと言われる前にやると。
玉木「やれって言われたらやりたくないけど。…真逆過ぎる!」
― (笑)。
酒井「それで俺、人に嫌われるって概念ないんや。」
玉木「人に嫌われるって概念は私もない。」
酒井「嫌われたらどうしようとか。」
玉木「どうでもいいもん。」
酒井「どうでもいいよな。」
玉木「あるの?みんな?」
― 嫌われるのが怖いってゆうのはあると思うんですよ。
玉木「私、人に興味がないってゆうのはあるかも。」
酒井「俺もない。」
― “人間嫌い”と言ってましたもんね。
玉木「馴れ合い?こう、グループで動くとか。」
― つるんだり、とか。
酒井「うん。」
玉木「友だちのつくり方とか知らんもん、私。」
酒井「友だちを“つくる”って感覚じゃなかったよな。」
玉木「ある意味ヘンなんだ私たちは。普通じゃないんだ。…初めて知った。」
― (笑)。
酒井「これが普通やと思ってたよな。情報をインストールする対象でしかなかったからさ。」
玉木「自分が何をしたいかしか考えたことない。」
― う〜ん…。
玉木「どういう世界にしたいかとか、何がしたいか、何がやってみたいか?そういうことは興味があったけどね。」
酒井「皆んな吸い終わったチューペットにしがみついてる感覚というかさ。俺インストール終わったら、次ってなるもん。そ
れでも皆んな大事に大事にし続けるやん、友だちだとか言って。」
― 腐れ縁というか…。
玉木「友だちと呑みに行くって何しに行くのか、意味がわからん。」
酒井「俺もそれがわからん。」
玉木「ストレスがないから、ストレス発散の意味がわからんし。」
― あ、そうなんですね。
玉木「だって愉しいから毎日。」
― ストレス無かったら楽しいですよね。
玉木「趣味って言えるのは寝ることぐらい。疲労回復する・寝ることは好き。」
― 今日最初うつむいてたのはストレスじゃなかったわけですね。
玉木「モンモンとしてた。頭の中にもやがかかった感じ。情報をドワーッと入れ過ぎてアウトプットが少ないから、酒井が聞いてくれへんから…」
酒井「聞いてくれへんじゃないやん、聞いてるやん。」
玉木「ノッてこないから。」
酒井「ノッてこないって…」
玉木「今日は越川さんが聞いてくれたからだいぶアウトプットが済んだ。なんかスッキリしてきた。またインプットしようという気がしてきた。そうゆう意味で循環が大事やな。」
― 「ルーツ」という今回のテーマとふたりの特異さがリンクしてきましたね。
玉木「私ら全然自分らのことわかってないよな?」
酒井「なぁ。」
玉木「私らが普通やと思ってたもんな、この40何年間。」
― 自分を分析したりはしないんですね?
玉木「しない。」
― でも分析好きじゃないですか。
玉木「どこに向かって行くかはね。目指す方向を決めるのは大好きやけど。自己分析はどうでもよかった。あ、でもあるよ。
自分が苦手なことを克服しようとしたのはあるけどね。」
― 自意識過剰だったりはしないですよね。
玉木「なんで私ってこんなにカッカと怒ってしまうんやろう?というのはある。(酒井を見つつ)この人は全くない。」
酒井「うん。ないな。」
書き人越川誠司
How do we lead our brand “tamaki niime”? In pursuing her goal, Tamaki stoically continues after her strict ideas and deeds. On the other hand, Sakai believes in his instincts and feelings to steer the direction of the brand. Once again, they have come to think back upon their roots.
- Tamaki
- Since we moved here, we have been inspired more and more.
- Sakai
- I think so.
- Tamaki
- After all, I ended up confused as to what it is all about, and my brain almost exploded.
- Sakai
- People who decide things logically have a tendency not to be aware of their thoughts and feelings. On the other hand, people who do things they want by their emotions tend to act carefree, but actually seem more stable because they are in sync. You are that kind of person.
- Tamaki
- I know, I know. I should be at “Ultra Instinct”.
- Sakai
- So everything is simple, after all.
- Tamaki
- Because I am a deep thinker. I feel frustrated when my thoughts and deeds don’t match up.
———You would like to devise a strategy, wouldn’t you? And you want to practice and experiment with your ideas?
- Tamaki
- I said that I came to the original position. So, the problem we have is the same one here in this Banshu-ori production place. We have our present products now because of our ancestors’ hard work. Our generation is not the one to accomplish everything. I can’t say big because I haven’t done, either. However, I would like to keep their “sprit”. The current generation has lost their motivations. They seem to give up on their lives. They have no passions.
- Sakai
- I absolutely think so. They have no passions.
- Tamaki
- However, we know we were irresponsible when we were young.
——-You think you were reckless, don’t you?
- Tamaki
- Yeah. I think I could admit it as we get older. I wonder if the older generations had the same impressions I have towards young people now. When we were 20’s, people in their 40’s might have thought that we didn’t have guts. I wonder if the same thing repeats from generation to generation? If it has been happening, I shouldn’t worry about it.
- Sakai
- While I was in Osaka back in time, a wife of artist I knew told me I would be an either one…..
- Tamaki
- Sakai was told that he would be living under a bridge or become a wealthy man.
- Sakai
- From that point of view, which was my original point, there were extreme possibilities, like complete opposites.
———By the way, you two have been living your way by not conforming yourselves in the past.
- Tamaki
- What do you mean “conforming yourselves” ?
——We humans stick to worldly reviews, and we often do not stay true, but you have been living without compromise.
- Tamaki
- I have been true to myself by that mean.
———-You haven’t been compromising, have you?
- Sakai
- No, I haven’t.
- Tamaki
- I was told that I was just a woman.
———You haven’t been rebellious.
- Tamaki
- Because I don’t care!
——-You are not two-faced. You two are very rare type of people.
- Tamaki
- Are we rare? I think we are ordinary.
——-People usually tend to hide themselves…
- Tamaki
- Why do they do that?
——-We may often not to show ourselves…
- Tamaki
- Aha, is that right?
——-You don’t, do you?
- Tamaki
- I have never cared about what others think about me.
- Sakai
- More than you, I have never ever cared about that.
- Tamaki
- (looking at Sakai) Never at all, huh?
——This may connect to their original position. A very relaxed atmosphere surrounds your hometown Katsuyama in Fukui.
- Tamaki
- No. that’s not true. Only we two are the exception. (laugh). When we go home once in a while, we hear people’s rumors. That’s annoying. Who cares, huh?
- Sakai
- No, I don’t care about it.
—— I think in everywhere else people love gossiping.
- Tamaki
- You had better enjoy the things happening in front of you.
——You can say it easily, can’t you?
- Tamaki
- Yeah.
——Usually, we cannot say it so easily.
- Tamaki
- Why? (talking to Sakai) When you have fun, it means really fun, huh? It doesn’t matter who criticizes it.
——……
- Tamaki
- I really think so. From the bottom of my heart.
——I think you truly believe it so.
- Tamaki
- Living is fun, isn’t it? I mean every day. Because my job is one of my hobbies, I have so much fun doing it. They frown to say not to understand that working is fun. Why don’t they have fun? We have been making so much fun of our lives, huh?
- Sakai
- I think so. I have never thought my life isn’t fun.
——-Ordinary people are…
- Tamaki
- You mean working is not fun because things don’t work as you wish?
——We can be very troublesome…
- Sakai
- Ah! I don’t have that worries.
——-You don’t lie about yourself, do you?
- Tamaki
- I have never hesitated.
- Sakai
- I didn’t do it if I didn’t want to do it.
- Tamaki
- I made it somehow.
- Sakai
- I only have done the things I enjoyed doing.
- Tamaki
- In all the things I have done, I have found the way to enjoy it. I even enjoyed studying for exams! I gave myself 100 credit points if I memorized these. I found joy in this accomplishment.
——You haven’t had any pressure to conform for others, huh?
- Tamaki
- Not at all. I did because I wanted to do it. No one told me to do it, even my parents didn’t ask me to do homework.
——-You didn’t feel pressured.
- Tamaki
- Yeah, but I am the type of person who needs to finish it quickly because I knew it would give me a hard time if I postpone it.
- Sakai
- I am not like you. If someone pressures me, I’d rather walk away from it.
——-You are the type of person who only does things you like to do. (laugh)
- Tamaki
- You are the type of person who didn’t do the things you must do. (laugh)
——Ms. Tamaki is the type of person who gets it done before she is asked to do it.
- Tamaki
- I don’t want to do it if I am forced to do it. …..it sounds too extreme.
———(laugh)
- Sakai
- And I have never worried about being disliked by someone.
- Tamaki
- I haven’t, either.
- Sakai
- I never worried what I should do if someone hates me.
- Tamaki
- I don’t care.
- Sakai
- I don’t care, either.
- Tamaki
- Do you care about it? Does anyone care about it?
——I think people are afraid to be disliked.
- Tamaki
- I may not be interested in people.
- Sakai
- I am not interested, either.
——-You said, you don’t like people, do you?
- Tamaki
- I am not good at getting too friendly or doing together with a group.
——Such as joining in and always doing things together?
- Sakai
- That is right.
- Tamaki
- I don’t know how to make friends.
- Sakai
- We have never had the idea of making friends.
- Tamaki
- From a particular point of view, we are different. Finally, I get it.
——-(laugh)
- Sakai
- I have believed I was an ordinary person because I am always the one who is just gathering information.
- Tamaki
- I have been just pursuing what I want to do.
———Ummm.
- Tamaki
- I have been interested in what kind of world I want to create, what I want to do, or what I want to challenge.
- Sakai
- Friendships are like sticking to an empty popsicle. Because after getting information (getting to know each other), I go to others. But, people keep it relevant because of being friendships.
—-Unsavory ties?
- Tamaki
- I don’t understand why they go out drinking.
- Sakai
- Me, either.
- Tamaki
- I don’t understand what is all about releasing stress, because I don’t have anxiety.
——Ah, is that so?
- Tamaki
- Because I enjoy every day.
——People could enjoy their lives every day if they have no stress.
- Tamaki
- The hobby I could think of is sleeping. I need to recover from tiredness, so I love to sleep.
——Today, I saw you facing down was not because of having stress, right?
- Tamaki
- I was confused and felt uneasy. Because I put in too much information but didn’t output much, it is because Sakai wouldn’t listen to me.
- Sakai
- I am listening!
- Tamaki
- You are not listening seriously.
- Sakai
- I am not listening seriously?
- Tamaki
- Today, Mr. Koshikawa has listened to me, so I could output my ideas. My mind is much clear now, and it motivates me to input again. In that sense, it is essential to circulate that by putting in and out.
—-Here we can see the connection with the theme “roots” and differences of those two people.
- Tamaki
- We still don’t know our differences at all, do we?
- Sakai
- That is true.
- Tamaki
- We have thought we are ordinary for the last 40 years.
——You haven’t analyzed yourselves, have you?
- Tamaki
- No, I haven’t.
- Tamaki
- I thought you like analyzing.
- Tamaki
- I like to analyze where you go. I love making goals but was not interested in analyzing myself. Ah, I had a time when I tried to conquer my weaknesses.
——-You were not excessively self-conscious, were you?
- Tamaki
- I have thought about why I am so easily upset. (looking at Sakai) He is not like me at all.
- Sakai
- No, I am not.
Original Japanese text by Seiji Koshikawa.
English translation by Adam & Michiko Whipple.