niime 百科
Encyclopedia of niime
niime百科百回達成記念
niimeゆく年くる年2023-2024
年越し“下剋上”放談
〈ゆく年編〉
Encyclopedia of niime 100th anniversary
niime Year In, Year Out 2023-2024
New Year's Eve 'Giant Killing' random discussion
〈 Year Out version 〉
niimeゆく年くる年2023-2024
年越し“下剋上”放談
〈ゆく年編〉
niime Year In, Year Out 2023-2024
New Year's Eve 'Giant Killing' random discussion
〈 Year Out version 〉
2023 . 12 . 31
前回の掲載で目出たく連載100回を達成、今回、年末年始恒例の「ゆく年くる年」で新たなステージへと踏み出すこの「niime百科」。
2018年4月1日の「introduction」から数えて5年と9ヶ月。。長きに渡って皆様にお読み頂き、本当にありがとうございます。
振り返れば、日々新たに絶え間ない“新化”を繰り返す「ネイチャーブランド」tamaki niime を取材しヴィヴィッドにこの場でお伝えすることの、やり甲斐と難しさを常に感じながらの連載でした。
ダメ出しによる書き直し、更には記事スタイルのマンネリを指摘され存続の危機を迎えたことも。(汗)
聞き手・書き手である私もまた、おのれの遊びゴコロを十全に解放しつつ、ピーンとテンションが張った緊張感も携えながらの取材とライティングの日々。
それは、確固たる芯を持ちながらも、アメーバのごとく“変態”する“niimeイズム”に戸惑いながら、それを頭で理解しようとするのではなく、心躍らせ自らアクションする中で体得し、自分の腑に落としてゆく過程だったようにも思えます。
コロナ禍の難局を社内一丸で乗り切った時期を語る玉木さん&酒井さん、スタッフの皆さんの発言の数々も含め、
“唯一無二な”tamaki niimeの歩みの貴重なアーカイブともなるべく、ここまで伴走を続けて来られたことに感謝の想いです。
デザイナーでありビジネス人であり経営者であり研究家であり求道者であり、アーティストとしてのシャープな感性と、湧き上がる創造性とパッションの、豊潤でカオスのような源泉を絶やさない玉木さんそして酒井さん。
「niimeゆく年くる年2023-2024」。二人による、まさに「ネイチャーブランド」を体現する、自然体=あるがままの語り、百回達成記念の年越し放談ドキュメントをたっぷりとお届けします!
—— 酒井さん的にはどうでしたか?2023年は。
酒井「僕は母が亡くなったから余計に、怒涛のこの一年でしたね。別にそれを忘れようとか忘れたいとかじゃなくて、母が亡くなってから、あっという間でしたね。怒涛というよ りはスピーディで、もっと“洗練”された。…いい意味で淡々と過ごしたというか。」
—— それは心境的に…
酒井「精神的に。その中で、これは以前からそうなんですけど、スタッフ教育というところに関しては、意識をしてましたね。こうやったらいいかな、ああやったらいいかなと試行錯誤して、トライ&エラーでやってみて。前は会社役員でしたけど、今年代表になって、代表としてどう出来るかなというのは無茶考えたかもしれないです。玉木の方はもう最初から代表をやってるんで、“酒井的な代表”ってなんやろう?っていう。」
—— はい。そこは見えてきたところはありますか?
酒井「ありますあります。「tamakiniimestaff」のインスタにも載ってるんですけど、何が伝わるかって…結局テクニカルな部分て、意外と伝わりにくくないですか?」
—— と言いますと。
酒井「例えば農業やるにしても、この苗は何センチ間隔で、こうこうこうやって植えるんだよ、って教えるよりも、とりあえず好きなように植えてみな、上手く実ったらこうなるから、って結果を見せる方が、楽しく植えたいなと思いません?」
—— そうなるにはどうしようかなと…
酒井「そうそう。自分で思考する。だから、やっぱり“想い”を伝えるべきなんやと。“熱量”というか。パッションを伝えるってゆうのが大事やなぁと思いましたね。」
—— ハウツーじゃなくって。
酒井「はい。だから本当に原点に戻ったというか。」
玉木「この、「niime百科」百回達成記念取材の前日に、酒井義範は覚醒しましたよ!」
酒井「昨夜久しぶりに8時間ブッ通しで眠ったんですよ。その前に延々30分以上本気でしゃべって、疲れて。どんどんボルテージが上がっていって。」
玉木「疲れすぎて(笑)。」
酒井「僕は常にそれぐらい本気で取り組んでるし。人に何か言うって、自分と対峙することとイコールじゃないですか。自分ともしっかりと向き合えた時間やったから。」
玉木「百回達成記念に、今回は酒井が独壇場で語ります。」
「tamakiniimestaff」のインスタ動画で、酒井の熱い語りの“現場”を見せてもらった。
酒井がスタッフに伝播させたいことは、逐一の言葉そのものではなく、溢れ出る熱意と想い、己れの取り組みの真剣さではないだろうか。
「素」になって、本気で本音で、tamaki niimeについて、言葉を皆んなで交えてゆく。酒井はそのための火付け役を担っているのだと思える。
酒井「人材教育に関してどうアプローチを掛けるかを無茶苦茶考えましたね。…それで「ハラスメント」と受け止められたこともあったんですけど、そこは突き抜けてやり切らないと、ここまでが限界というラインが掴めないというのもあって。」
玉木「ずっと人材教育を繰り返してる。最初は私たち二人だけだったけど、ここ15年、スタッフに動いてもらうために、まぁなんだかんだ、色んなことを試みましたよ。」
酒井「どんなに下手クソな言葉でも伝わるヤツにはスーッと伝わる。わかってくれるというか。伝わる・伝わらないはテクニックじゃなくてここ(胸を指差しながら)、パッションなんですよ。」
玉木「結局、ピュアな人間が、育つ。」
—— ピュアさ、素直な感性って大事でしょうね…。
酒井「先日、丸と四角のメガネの経済学者・成田祐輔さんのスピーチを聴いてたんですね。めちゃめちゃ語りがテクニカルで構成が上手いんですよ。話の序盤から整然と形作られてて上げ下げがあって、最後見事に着地させて。僕はああはなれないですけど、でも、あれだけ上手に喋ってる成田さんの言葉ですらも、響く人と響かない人がいるわけですよ。」
—— いくら名スピーチであれ、百人いたら百人ともの心を打つわけではないと。
酒井「だから、僕思いました。この場でハッキリ書いといて欲しいんですけど、ホントに響くヤツだけでいいかと思います。」
—— …響く人間だけでいい。
酒井「うん。それは切り捨てるとかいうことじゃないですよ。共に走るのは…響くヤツだけでいいかなと思います。一緒に走ろうぜッ!って声かけて、走ります!って言ってくれた子と僕は走りたいと思いますね。越川さんだって、例えば、ここに3人やって来たとして、僕見学したいですッ!って手を挙げてくれた子を案内したくないですか?」
玉木「私が問題だなって思ってるのは…それが国民病みたいになってるねん。」
酒井「なってる。」
玉木「表現ができない。心の中では行きたいと思ってたとしても、他人から観たら、行きたくないって顔になってるってこと。」
酒井「なんでかって、日本人特有の同調圧力に負けるやつや。」
玉木「人の目を気にして、自己表現をしたことがないのよ。コロナ禍のせいもあって、マスク慣れしてる子たちって顔が笑ってないねん。心の中と身体が、一致してないの!」
—— 知らず知らずのうちに“仮面”をつけちゃってるみたいな。
玉木「うん、仮面人間。癖になっちゃってる。無表情が。」
—— …私も若い頃とかそんな感じだったかも。
酒井「越川さんて僕、けっこう付き合い長いですけど、すごいこう…」
玉木「キョトンとしてる。」
酒井「キョトンとしてようで、情熱的な人なんや。」
—— キョトンとして情熱的。面白いですね(笑)。
玉木「表情はキョトンとしてるのよ(笑)。」
酒井「オラァッ!みたいなことは言わないけど、ちゃんと自分の想いとか意思を伝えてくれる人やな、昔から。」
玉木「でもいやほんと、色々スタッフ教育試してきたけど、それこそ茶谷さんの入社の頃はスパルタで。その時代から…」
酒井「いや〜でもあの当時から比べるとほんと緩いよ。だって朝来てみんなで洗いをブワーッってやって、縫製ガンガンやって、わちゃわちゃやったよ。」
玉木「寝てる間がなかったからね。」
酒井「今でこそtabe roomこしらえて母そしてみさきがごはんつくってくれてますけど、最初の頃は牛丼やカレーやったからな。」
玉木「毎日のようにレトルトやったな。料理してる暇がないもの。」
酒井「第一、メシ食う場所がないから、外で食べたりとかさ。」
玉木「怒涛の日々やったな。愉しかったけどな。」
酒井「そうそう、めっちゃ愉しかった!」
—— 創成期って、なんかありますよね。“カオス”みたいな愉しさが。
玉木「アドレナリンが出まくる…。」
—— 組織って難しいですよね、何巡目かしてくると…
玉木「そうなの。そのままってわけにいかないから。」
酒井「現状のままで1000人規模とか嫌やもんな。」
玉木「…次のステージは酒井がやっと目覚めましたので、人材育成をしてくれるそうですから。」
酒井「人材育成をする、ってゆう感覚はないですけど、ずっと常に僕は、「想い」を伝え続けて行こうってゆうのは思いました。しょっちゅう言ってたらウルサイから、ここぞって時に。」
—— 酒井さんの言葉って、何よりパッションがすごい胸に響くと思うんですよ。極端な話、何言ってるのかよくわからないけど、響いた〜!みたいな。
酒井「…そうそう。」
玉木「なんかわからんけど…来たわっ!みたいな(笑)。」
酒井「そうそうそうそう。」
—— それが何年か後にポンッと芽が出て来て、あ、そうゆうことか!と。
玉木「…そんなモンですよ。だからそこを、手を抜いちゃイカンなってことやな。」
酒井「情熱の伝え方を色々とやって来ましたけど、やっぱり直接話して、自分の想いをダーンッ!て伝えるのが一番イイっすね。」
玉木「リーダーを介して、間を通すとかしてたんですよ、最近。」
酒井「組織ってだいたいピラミッド型じゃないですか。トップがいてその下に管理職がいて、みたいな。でもほんとは、無茶フラットで、僕らがダイレクトにすべてのスタッフにアクセス出来る方が、組織としてスムーズなのかなと。活性化するというか。」
玉木「結果的にそうなればね。効率を考えたらちゃんとリーダーを育てて、そのリーダーが下を育てて…っていうのが本来の組織のあり方やから、そうしなきゃと思ってやって来たけど、下とのコミュニケーションを取る時間も持たないと。…伝言になっちゃうと、焦点がボケちゃう。そこの兼ね合いが難しい。」
酒井「だから来年に向けての抱負は、玉木とともにスタッフたちと、ちゃんとコミュニケーションが取れる人数でメシとか行きたいなと。」
玉木「西脇のお店を巡業するわ。」
酒井「もっと腹割って話したいなと思うんスよ。」
玉木「嬉しいね、また色んなお店出来たから。パン屋さんも。」
酒井「アンブレラ!」
玉木「cinema coffee umbrella(シネマコーヒーアンブレラ)大・大絶賛(笑)!!」
酒井「宣伝とかじゃなくて、書いといてください。アンブレラさんのラテとパン、無茶苦茶美味いですよ。」
玉木「宮崎さんのピザ屋さんも出来たし。」
酒井「そうそう、ウチにいた宮崎が息子さんたちとピザ屋さんやってるんですよ。それも書いてください。名前は…ミヤザキーノ。(註:本当の店名は、quaranta(クアランタ)です。)」
玉木「庭がとても広くて、白い烏骨鶏ちゃんが4羽いる。雄1羽、雌3羽。無茶美味しかった。」
—— ピザ窯も自分で作られたんですよね。
玉木「ピザ屋がほしいほしいって前々から言ってたらさ、市内に3軒も出来ちゃって。私の引き寄せって、スゴイ…。」
酒井「話を戻すと、今年はスタッフたちのことを“精査”出来た一年でした。一見ヤル気なさそうでコイツ実はすごく前のめりやな、とか。」
玉木「見た目と中身がね。そこは色々皆んな個性があるから。」
酒井「言葉上手じゃないけど、ハートがあるなとか。良い悪いという意味ではなくて、そこをもっとこう、皆んなが…理想は、全員がすごいパッションに溢れてて、この会社なんなん……??って会社にしたいんですけど。」
玉木「元々私たち二人で走って来たでしょ?私はオモロイモノを創ろうで走って来て、彼がどうやってそれを売ってゆくかを考えて来たわけですよ。全国47都道府県にとか、世界中に広めたいとか、老若男女に身に付けてほしいというテーマのもとで、酒井が進めて来た「開くチーム」だったんだけど…そこを5年振りに束ねると。」
酒井「来年に向けてちゃんと僕たちの“想い”を伝えてゆく。僕、自分で言うのもなんですけど、決して間違ったことは言ってないんですよ。」
玉木「言い方とか口調の激しさとかあるけど、言ってる中身は間違ってないから、素直に聞いたらいいのになとは思う。」
酒井「自分が20代の頃に聞きたかったことを僕は言ってるから。ほんと僕らの若い時代には誰も教えてくれなかったから。」
私自身もハタケは異なるものの、かつてグラフィックデザイナーとしての「修行時代」を経た経験がある。
1990年代。昔ながらの手作業によるデザインとMacの普及によるDTP黎明期の両方を経験することができた。手取り足取りレクチャーしてもらうとかマニュアル本とかはなくて、下働きからスタートし、先輩の仕事振りを観ながら体験的に感覚でデザインとはなにかを丸ごと掴んでゆく他なかったものだった。
とにかく自分の手を動かし試行錯誤しながらデザインというものを「体得」していったように思う。早く「目から鱗を落とす」ようにと、師匠や先輩からはハッパを掛けられた。
後から思うに、「開眼する」ためのヒントは事務所の至るところに散りばめてあった。それに気づいていかに自分でモノにするかが肝心だったという気がする。「クリエイティブな行為」とは、すでにあるものをなぞることではなく、未知の領域に自分で足を踏み出す、そんな冒険にも似たような、“一回性”に満ちているのだ。
玉木「でもこれからが愉しみだなと思って。やっと素地が出来たって感じじゃない?」
酒井「出来た。」
玉木「少人数の頃の号令かけて皆んなで走ってた時代も過ぎ、チームをつくって各々にやらせてた時もあってこれだと上手くいかないとなって、その後紆余曲折を経て、リーダーたちが今、自分たちの希望した人材育成のやり方がやっぱり間違ってたと気付き始めたの。」
—— 自分たちの希望したやり方とは?
玉木「きちんと寄り添って話をして一緒に進んでゆくって方法を取りたいって言って来たから、やってみなさい、ってことでやってたんだけど、それじゃ走れないってことがわかったって、ついこないだ言われたの。やっぱりこれでは回らない、言い方が優しすぎると、モチベーションは上がるけど、やらねばならぬ!にはならないというか。ようしやるぞォ〜ッ!!ってパッションには繋がらない。だから助けてくださいと。わかった、どうしようか考えていこうかと。やっと気づいてくれたかと思って。」
酒井「コロナ禍を境にグローバリズムは終わったという人もいるし、AIに支配されるという人もいるけど、今は“戦国時代”だと思った方がいいと僕は思います。かつてその時代は躊躇したら一瞬で切り捨てられるし、武将以下、ものすごい緊張感の中に皆んないたわけでしょう?今の時代、なんもしなくったって傷も負わないし。」
—— 今は与えられる時代ですもんね。情報だってAIが選別してくれるし。
酒井「そう!昨日も言ったんですけど、情報なんて待ってても降ってこないよ、と。今だって、情報は取りに行かんかったら。」
玉木「本当に欲しい情報はね。」
酒井「そうそうそうそう。」
玉木「降ってくる情報は、金の成る木になるだけやもんね。お金取られちゃうだけ。」
—— 誰にでも簡単にアクセスできるような情報は。
玉木「どこにアンテナを張るかが大事。」
コロナ禍を経てなお混沌とする現代の世界。争い、対立、資本主義やグローバリズムが終焉するという声、AIの台頭、ファッションやアート、カルチャー、そして人々の暮らし…数年先が見通せず、状況が目まぐるしく移り変わる時代に私たちは直面している。
酒井「まさに今、戦国時代だと思うんですよ。」
唐突だが、「戦国時代」〜「下剋上」というと、私にはリアルな同時代経験として10代の頃・70’s後半に出会った、パンクロックが想起されてくる。
60年代末、「Love & Peace」の掛け声のもと、若者たちにとっての、社会を変革する起爆剤だったはずのロックミュージックは、70年代中期には商業化が進み、巨大な音楽ビジネスとなりメッセージの鋭さを喪失していった。
70年代後半、経済不況にあえぎ閉塞感漂う英国でそこに風穴を空けたのが、ファッション・デザイナーであり策士だったマルコム・マクラーレンが仕掛け、若き切れ者ジョニー・ロットンがフロントマンを務めたセックス・ピストルズ。マルコムはヴィヴィアン・ウエストウッドと 先鋭的なブティック「SEX」を共同経営し、そこに出入りしていたのがピストルズを結成するメンバーたちだった。
ピストルズの出現によって、直ちに激しいビートと真摯でリアルなメッセージを携えたザ・クラッシュやザ・ジャムら後続のパンクバンドが雨後のタケノコのように登場し、当時の英国の若者たちの圧倒的な支持を得た。
パンク・カルチャー、パンク・ファッションが席巻しあっという間にそれまでの長髪やベルボトムはダサくなった。アーティストと観客の垣根が低くなり、日陰の存在だったマイノリティ(少数派)の人々が自己を表現するために楽器を手に取り、各々が自分たちの言いたいことを歌い出した。
パンク・ムーヴメントはニューウェイヴへと移行し百花繚乱、続々と新たな音楽スタイルと主張を抱えた新人アーティストが登場し、既存の大物バンドらはもはや過去のものの扱いで“オールドウェイヴ”と呼ばれるという、まさに下剋上な音楽状況が英国では数年間続いた。
そして遠い海の向こうのそんな状況に10代の瑞々しい感性でもって刺激を受け、パンクのスピリットとエッセンスを吸収し“日本代表”を大胆不敵に名乗って80年代半ばに登場したのがザ・ブルーハーツの面々だった。
酒井「その頃の音楽状況を僕らは詳しくは知らないですけど、僕らを一言で言うならパンクっすよね。その頃のイズムみたいなものが、まさに今、要りますよね。」
—— 酒井さんの注入しようとしてるスピリットにも通ずるものなのかな…そんな風に思うんですよ。
既存の方法論とは一線を画し、クリエイティヴで斬新なスタイルを鮮やかに提示する。デザインでありアートであり、志を携えて、地域(ミクロ)と地球(マクロ)の両方に想いを馳せながら「一点モノ」を創出し、脱皮と変態を繰り返し日々自分たちを新たにしてゆくtamaki niimeの方法論。それは、自ずと自らが革新的であり続けるという、唯一無二の在り方なのだ。
—— tamaki niimeという「場」そのものが「下剋上」の舞台なのではと。
酒井「それ書いといてください。」
—— そこが浸透したらもぅ、怒涛の様に動き出すのでは…と思えます。
酒井「だから僕は、常に“エアー刀”を差してるつもりでいますもん。気合いというか、常に斬る・斬られるの心構えはありますね。」
玉木「“ラストサムライ”というか。」
酒井「先日、ある研究者の方がウチに来た時にお話ししたんですけど、テクノロジーの最先端って言えば現時点では、「ハッカー」じゃないですか。ハッキングする、それに対処するのイタチごっこでネットというかデジタル社会の構築が推し進められて来たけど、もうその時代は終わった、って僕は言ったんですよ。」
—— そうなんですね。
酒井「そう。僕の中で。そんなんじゃなくて、今は“ネイチャー・ハック”って僕は呼んでるんですけど。何も難しいことじゃなくて、自然とつながる、という意味でのハック。」
玉木「ナチュラルにつながるという意味?」
酒井「そう。」
玉木「あれだ。ピーッ!って。超能力だ。」
酒井「玉木が朝起きて、太陽に向かって、今日も一日お願いします、ってゆうのも“ネイチャーハック”なんですよ。で、ほんとにこの人、自然をハッキングできるのが、「雨止んで~!」って言うと、雨止むんスよ。」
—— ………。
玉木「ハハハ(笑)。」
酒井「(玉木に)これマジな話、なぁ?」
〈くる年編に続く!〉
この続きは明けて元旦の〈くる年編〉をお愉しみに!
それでは皆さま、どうぞよいお年を。
書き人越川誠司
In the last article, we thankfully achieved the 100th of the series of Encyclopedia of niime, and it has stepped onto a new stage at the New Year’s tradition of ‘Year In, Year Out.’
It has been five years and nine months since the introductory article on April 1, 2018. I appreciate readers who have read this for a long time.
Thinking back, I found it challenging to write vividly and interview the nature brand ‘tamaki niime’, which is continually evolving.
I am rewriting due to criticism, and I have been told that my article style is a bit repetitive, which once had the threat of cancellation. (sweat)
As a listener and a writer, I interviewed and wrote daily while fully releasing my sense of playfulness with a tense feeling.
Although they have a solid core, the principle of ‘niimeism’ changes like an amoeba, which I was confused about. That makes sense; I’m not trying to understand in my head but rather getting excited about and fully understanding it.
Including Ms Tamaki, Mr Sakai, and staff comments about overcoming difficulties within the company during the pandemic, which can be the only archive of the ‘tamaki niime’ pathway; I am thankful for continually doing so to this day.
Ms Tamaki and Mr Sakai are designers, merchants, business owners, researchers, and seekers. They have sharp senses as artists who inspire creativity and passion while maintaining abundant and chaotic resources.
In ‘niime Year In, Year Out 2023-2024’, we will send you the New Year’s Eve discussion and the 100th-Anniversary Documentary of Tamaki and Sakai expressing their story as they are and their ‘natural brand.’
—— How was your 2023, Mr Sakai?
- Sakai
- Since my mother passed away, it has been a raging year. I didn’t mean I tried to forget or wanted to ignore it; it feels like a short period, not a raging time but a speedier or more sophisticated one. I was spending my time calmly.
—— And your state of mind…
- Sakai
- My state of mind. At such times, I was more concerned about educating staff. I tried and made errors in doing so. I was an administrator of the company, but became a representative this Year. I thought to myself what I could do as the representative. Tamaki has been a representative from the beginning, but what is my job as a representative?
—— I see. Did you find something?
- Sakai
- Yes. I did. I put it on Instagram as ‘tamakiniimestaff’. What can you convey… aren’t the technical parts hard to express?
—— What do you mean?
- Sakai
- For example, if you teach farming, it’s more fun to let them plant first as they like and show them the results of growing well rather than teaching them details like how many centimetres you have to make space for this kind of plant.
—— You make them think about how to make it happen with good results…
- Sakai
- That’s right. You have to make them think, so you need to convey your thoughts and passion.
—— Not teaching logically.
- Sakai
- That’s right. It’s the way back to the basics.
- Tamaki
- The day before interviewing the ‘Encyclopedia of niime 100th achievement anniversary, Yoshinori Sakai was awakened!
- Sakai
- I slept 8 hours straight last night after a long time. Before sleeping, I continued talking for more than 30 minutes. I was getting excited and exhausted.
- Tamaki
- You were too exhausted. (laugh)
- Sakai
- I always work hard like that. Talking to people about your thoughts equals facing yourself. It was the time I was able to face myself.
- Tamaki
- For the ‘100th Achievement Anniversary’, Sakai will talk at the last minute this time.
Sakai showed us his passionate talk scene in the Instagram video of ‘tamakiniimestaff’.
What Sakai wants to tell his staff is not words one by one but his overflowing enthusiasm, passion, and seriousness about work.
To be honest, everyone talks seriously about ‘tamaki niime’. Sakai seems like the instigator of it.
- Sakai
- I thought about how to approach Human Resources training a lot. Once, it was considered to be ‘harassment’. But I have to do it because there’s no borderline.
- Tamaki
- We have been doing Human Resources training. At first, only we did it. However, for the last 15 years, we have educated our staff and tried many things to make them work effectively.
- Sakai
- Even though we talked to staff with poor words, I could smoothly convey to some staff who understood them. When we can’t express them, the problem is not because of technique; it is here (pointing to his chest) our passion.
- Tamaki
- After all, the people with pure hearts can grow.
—— Purity: it’s essential to have honest sensitivity.
- Sakai
- The other day, I was listening to the speech of Mr Yusuke Narita, the economist scholar with round and square-framed glasses. His talk was very technical and well-configured. From the beginning of the speech, it was well organized, and there were ups and downs, and his last was amazingly well done. I can’t do it like him, but even with his good talks, there are some people who could touch the heart or who couldn’t feel it at all.
—— No matter how good a speech it was, it doesn’t mean you could touch 100 people’s hearts out of 100 people.
- Sakai
- That’s what I thought. I want you to write down clearly that it is all right. You only have people who understand you.
—— It’s all right to have only the people who understand you.
- Sakai
- Yeah, it doesn’t mean discarding some people. The people running together are the only ones who understand you. I want to run together with those who answer “I will!” when I ask them if they’re going to run together. How about you, Mr Koshikawa? If you have three people who come to observe here, don’t you want to show the people who raised their hands, “I want to see it!”
- Tamaki
- What I think is the problem is that it has become a national disease.
- Sakai
- It has.
- Tamaki
- People can’t express their thoughts. Even though they wish to do so, they look like they are not interested.
- Sakai
- Because some people succumb to peer pressure, which is one of the Japanese characteristics.
- Tamaki
- They never express their opinions because they care about other people’s thoughts. Because of the pandemic, people who are used to wearing masks are not smiling. Their minds and outside bodies don’t match.
—— Without being aware, they put on a mask.
- Tamaki
- Yeah, they are masked people. That became their habit to be expressionless.
—— …I think I was like that when I was young.
- Sakai
- Mr Koshikawa, we’ve known each other for a long time. I think you are…
- Tamaki
- He looks bewildered.
- Sakai
- He looks bewildered but is passionate.
—— I look bewildered but passionate, which is interesting. (laugh)
- Tamaki
- Your facial expression is bewildered.
- Sakai
- He doesn’t yell but honestly shares his thoughts and opinions. He’s been like that.
- Tamaki
- I have been having various employee training sessions. When Mr Chatani joined the company, we were very strict. From that time…
- Sakai
- Well, compared to that time, we are much softer. Remember, we came in the morning, and everyone washed and sewed a lot. We were so crazy.
- Tamaki
- We didn’t have time to sleep.
- Sakai
- Nowadays, we have a tabe room, and my Mom and Misaki make meals, but in the early days, we just had instant beef or curry rice.
- Tamaki
- We had instant meals every day because we didn’t have time to cook.
- Sakai
- First, we didn’t have a place to eat, so we ate outside.
- Tamaki
- Yeah, we had crazy days, but it was fun.
- Sakai
- Yeah, yeah, it was so much fun!
—— Early days were something. There’s fun in being chaotic.
- Tamaki
- Adrenaline rushes.
—— Having organization is challenging. After becoming larger…
- Tamaki
- That’s right. You can’t keep it as it was.
- Sakai
- I don’t like to keep the same condition if we have 1000 employees.
- Tamaki
- Sakai was finally aware of Human Resources training for the next stage and will do it.
- Sakai
- I don’t mean to have Human Resources training, but I have been thinking about telling my thoughts. If I told them all the time, it would be annoying. I want to say to them when it’s necessary.
—— Mr Sakai’s words are so passionate that they touch the heart. They don’t know what it means in extreme cases, but it touches listeners.
- Sakai
- …yeah, yeah.
- Tamaki
- It looks like, wow! I am touched even though I don’t know what it is.
- Sakai
- Yeah, yeah, yeah.
—— A few years later, they get results from what was taught; they would know what he meant.
- Tamaki
- That’s how it is. That’s why we shouldn’t cut corners.
- Sakai
- I have tried many ways of expressing my passions, and I can conclude that the best approach is to speak directly about my thoughts.
- Tamaki
- I was telling the staff through the leaders recently.
- Sakai
- Most organizations have a pyramid shape, with the administrative staff members under the top staff. But it can actually be flat, and we could work smoothly if we directly accessed each staff member. It can activate organizations.
- Tamaki
- It would be great if it worked as a result. Thinking about effectiveness, we should properly develop leaders, and such leaders should develop staff under them, which is the original ideal structure of the organization. I have been trying to do so, but there’s a problem with taking time to communicate with the staff under us. If we just deliver messages through someone, what we want to tell would be out of focus. Its adjustment is hard.
- Sakai
- My goal for next year is to eat with Tamaki and the number of communicable staff members.
- Tamaki
- We go around the restaurants in Nishiwaki.
- Sakai
- I want to talk with them openly.
- Tamaki
- That would be fun. We have new stores and a bakery.
- Sakai
- Umbrella!
- Tamaki
- ‘Cinema Coffee Umbrella’. Highly praised! (laugh)
- Sakai
- I don’t mean to advertise it, but please write that their coffee and bread are delicious.
- Tamaki
- A new pizza restaurant was run by Mr Miyazaki and his son, who used to work for us. Please write about it as well. The restaurant’s name is Miyazakiino. (*The real name is Quaranta.)
- Tamaki
- Their enormous garden has four silkies, one male and three females. The food was delicious.
—— He made his oven, right?
- Tamaki
- I have long wanted pizza restaurants, and we now have three new ones in our city. My attraction power is great.
- Tamaki
- Getting back to the topic, we could scrutinize our staff this year. Some staff don’t seem motivated, but they are actually leaning forward.
- Tamaki
- Their outlooks and insides are different. Each has their personality.
- Sakai
- Some are not good at talking but have good hearts. I don’t mean it’s good or bad, but I just hope everyone is passionate and I want to make a fantastic company.
- Tamaki
- Originally, both of us had been running hard. I have been trying to make exciting products, and he has been thinking about how to sell them. With our wish of spreading our products in 47 prefectures or all over the world, or having a theme of wearing them to all men and women, Sakai has worked forward in the ‘Opening team’…as we summarize after five years.
- Sakai
- We are going to share our thoughts for next Year. It may sound weird, but I am not saying the wrong things.
- Tamaki
- He has an intense tone of voice and complex ways of talking, but the things he tells us are not wrong, so I hope they can listen to him.
- Sakai
- I am saying what I wanted to hear in my 20s. When I was young, nobody taught me.
Even though I worked in a different field, I had training experience working as a graphic designer.
In the 1990s, I experienced old-fashioned manual designs and the dawn of DTP. There were no detailed lectures or manual books. Starting to work from the bottom and watching senior workers, I had to learn what the designs are physically with senses.
I think I learned to get ‘designs’ by using my hands and by trial and error. Masters and seniors pushed me to become aware and understand well.
Thinking back later, there were many hints of ‘opening my eyes’ everywhere in the office. I believe it is essential to be aware of them and make them yours. ‘Making creative’ is not tracing the existing things but stepping into uncharted territory, such as once, full of adventures.
- Tamaki
- But I am looking forward to it from now on. We finally made our foundation, right?
- Sakai
- We made it.
- Tamaki
- When we had a few staff members, there was a time when we gave them commands and worked together. After passing such a period, we made teams to do their own, but it didn’t work well, and we went through twists and turns. We know that our desired ways of using human resources are wrong.
—— What were your desired ways?
- Tamaki
- I told my staff that I wanted to work together while talking with them and feeling close to them, so I observed their work and what they did. But they told me the other day that they learned they can’t work passionately this way. Being told nicely, they felt good and motivated but couldn’t push themselves to work harder or get passionate. They asked me to help them. I realized they finally became aware and understood what they needed to think about.
- Sakai
- Some people say globalism has finished after the pandemic, or some say AI will control us. I think we should think that we are in the Sengoku war era. At that time in Japanese history, once people hesitated, they were cut off instantly. Under the military commanders, everyone lived in a very tense state. In our current time, we don’t even get hurt even though we don’t do anything.
—— Now, we live in the time that we are given.
AI gives us a selection of information.
- Sakai
- That’s right! As I said yesterday, the information doesn’t come to you if you just wait. Even now, you have to go get it.
- Tamaki
- It is primarily the information you want.
- Sakai
- That’s right, that’s right.
- Tamaki
- The information that falls is only the money trees to steal your money.
—— It is the information you can easily access.
- Tamaki
- It’s important where you put up your antenna.
After the (COVID-19) pandemic, the world is still chaotic. There are wars, fights, rumours that capitalism and globalism will end, and the rise of AI, fashion and arts. Cultures and people’s lives are things we can’t predict shortly, and we are living in a time of rapid change.
- Sakai
- Just right now, we are in the Sengoku period.
This is sudden, but hearing about the ‘Sengoku period’ and ‘Giant Killing’ as my teen experience, I remember the late 70s punk rock.
At the end of the ’60s, under the shouts of ‘Love & Peace,’ rock music was the detonator that changed society for young people, but in the middle of the ’70s, its commercialization developed. It became a huge music business and lost the seriousness of its messages.
At the end of the 1970s, England suffered an economic downturn and felt trapped. In such situations, Malcolm McLaren, a fashion designer and tactician, opened the world. Young, brilliant musician Johnny Rotten was the frontman of the band Sex Pistols. Malcolm ran a sharp boutique together with Vivian West, and the members of Pistols often came to the shop.
Appearing after the Sex Pistols, rock bands like Crush and Jam, which had hard beats with sincere messages, seemed a lot, just like growing bamboo trees after the rain. Many young British greatly supported them at that time.
The punk culture and fashion were sweeping over. Immediately, long hair and bell bottoms became uncool. The wall of Artists and audiences became lower, and minority people in the shades took the instruments to express themselves, and each started singing what they wanted to say.
The punk movement went on to new waves, and many talented people appeared. Continually, new artists with new music and ideas appeared. Old big bands were treated as past and called ‘old wave’, which was like the condition of ‘Giant Killing’, and it continued for a few years in England.
The band, The Blue Hearts, appeared in the middle of the 1980s. They were bold and called themselves ‘Japanese representatives’. They were teenagers stimulated by far overseas cultures with fresh senses and absorbed punk spirits and their essence.
- Sakai
- I don’t know the details of the music condition around that time, but if we express ourselves with one word, we are like punk music. We have such principles just like them now.
—— It also sounds like the spirit Mr Sakai tries to get in…I feel like that.
It draws a line from existing methodologies and brightly shows creativity and innovative styles. It is about design and art. Ambitious, they created ‘one-item-products’ thinking of both districts (micro) and earth (macro). Repeating shedding and transforming, they renew daily, which is the ‘tamaki niime’ methodology. Their one and only principle is that they must keep innovating.
—— The place of ‘tamaki niime’ itself might be the stage of ‘Giant Killing’.
- Sakai
- Please write it down.
—— If it spreads through everyone, they would start moving like a raging wave.
- Sakai
- That’s why I always think I have an ‘air katana’ with me. I always have a spirit that I have to cut or to be cut.
- Tamaki
- It is like ‘Last Samurai’.
- Sakai
- The other day, a researcher came to our place and talked with us. Hackers are at the forefront of technology. The Internet or digital society has kept going with the structure of hacking and opposing it, which is a cat-and-mouse game, but I think such a time has ended.
—— I see.
- Sakai
- Yes. It ended in myself. I got another meaning. I call it ‘nature hacking’, which is not difficult. Hacking means ‘connecting to nature.’
- Tamaki
- You mean connecting naturally?
- Sakai
- That’s right.
- Tamaki
- Oh, yeah. That’s an inspiration! It’s a superpower.
- Sakai
- Tamaki gets up in the morning and says to the Sun, “Please watch me all day today.” This is also ‘nature hacking’. And she really hacks nature. She says, “Please stop the rain!” And it really stops!
—— …
- Tamaki
- Hahaha. (laugh)
- Sakai
- (talking to Tamaki) It’s true, right?”
〈 continued ‘coming year’ version! 〉
Please look forward to the following continued interview
Happy New Year!
Original Japanese text by Seiji Koshikawa.
English translation by Adam & Michiko Whipple.