niime 百科
Encyclopedia of niime
スタッフ全員が創作を追求する、
新たなモノづくり。
All the staff pursue their creativity, new creations.
新たなモノづくり。
2018 . 06 . 01
そのショールに代表される様に、tamaki niimeの作品は年齢や性別・体型に縛られずに身にまとえるという自由さを表現し、国内外の様々な人々に支持され続けている。
理想的なモノづくりの環境であるShop&Labに多彩なスタッフが集まる中で、そこにプラスして今、これまでとは異なったクリエーションの可能性が芽生えようとしている。スタッフ各々が自由なアイデアを持ち寄り、能力を相乗させながら進める創作の試み。
「色にしてもカタチにしても、私だけじゃなくて、スタッフ皆んなが追い求めて行かなくちゃいけない。」こう玉木は想いを語る。tamaki niimeによる、新たなモノづくりへの挑戦について聞いてみた。
玉木「今の課題として、以前なら私が自分で染めて・自分で色を並べて・自分で織ってたから、自分の中で完成品を想像しながら染めから出来たわけですが、思い描いたものをさらに進化させようと色糸を並べ織られてゆくべきところが、分業化して染めなら染めばかり担当するスタッフってなっちゃうと、人同士の繋がりがしっかりと出来てきちんとバトンが渡って行かなければ、更に面白いモノづくりにはならないなと。」
― スタッフ間のイメージの共有とかディスカッションみたいな事は?
玉木「そこを今、すごくやっていて。ここをこうしたい、ここの色はこういう風にしてほしいという事が明確に伝わる様に密にやり取りして、より面白いモノづくりをしていきたい。カタチに関するデザインをどんどん創っていきたいというところと、色は色で今までにないバリエーションを創ってゆきたいっていうのがあるから。スタッフ皆んな個人個人が、“創作家”みたいになってゆく感じになれば。」
酒井「ある意味、“実験”やな。」
玉木「だから閃いたらやってみる、ってゆうのをスタッフにも定着させて、本当にどんどんとアイデアが湧き出てくる、というような組織というかチームになるように、今グニュッって変えて行ってるところです。まだまだスタッフ皆、クリエーションというよりも生産に追われて必死になっているというのが現実なので、今年そこをグッと変えると。」
― 今年の大きなテーマですね。
玉木「今進めているのが、週に一度プレゼンじゃないけど、何でも良いからアイデアを一枚の紙に書いて出すことで。それは色であってもカタチであっても、デザインや柄であっても良いし、自分が“あったらいいな”と思うものを、販売員もパートさんも含めてスタッフ皆んなが何かしらひとつずつ書く。それをたたき台にしてデザインチームが、じゃあどれから試作品を創るかを考えて実際にカタチにしていく。そうゆうモノづくりをスタートしてます。シーズンが変わるから新作をドバッと創りますじゃなくて、産み出た発想からがスタートなので、着地点は出来上がった時が新作発表って事にして、時期も何も関係なく、一気に10点出来る時もあるかもしれないし、この1ヶ月間は1点だけってこともあるかも知れないけど、タイムリミットを決めてここまでに出せっていうやり方じゃなく、発想ありきでどんどんどんどんカタチにしていく。そんな仕組みを作ろうとしています。今までだったら生産ありきで、この時期までにしっかり作品を創り上げなきゃいけないっていうところばかりに執着してたから。例えば5月までに秋冬デザインを完成させるという様な行程のみだったのが、そう変えることで、常時新しいデザインが上がって来る。だからもう生産ラインはいつも100パーセント稼働にするんじゃなくて、20パーセントはサンプルを作るっていう配分にして。織機だったら常に1台はサンプル機として残しておいていつでも色糸を差し込める状態にしておく体制に変えて。新しいモノを生みだすってゆう事と、従来の生産という処を、しっかり同時進行でやって行けるようにしようという事に決めました。」
― tamaki niimeスタッフ全体として、モノづくりの実験が可能な体制を作ったと。
玉木「ショップはショップでありながら“実験場”なんですよ。例えば創ってみたものをまずは10点店頭に出してみる。それに対してお客様がどんな反応をされるか?どんな印象を持たれるか?ってゆうところをしっかりと観るのも検証のうちでしょ。駄目って言われるかもしれないしこれ無茶いい!って言われるかもしれないし。最初にアイデアが生まれ出た時から創作して売り場に並べフィードバックを得るまでの一連の流れが実験で。その結果を踏まえて、また改良するのか、さらに面白いものにしていくのか、それともすごく良いから点数増やしてくださいとなるのか。更により良いモノづくりを目指していくという意味では、それが色んなアイテムで動き出すからこそ、まずデザインを出す人・最初に紙にアイデアを書いた人が生みの親になり、そこからスタートして、実際に創ることはその人が出来ない場合もあるしで色んなスタッフの手を渡るけれども、最後までしっかりとバトンをリレーしてカタチにしてゆく。するとその連動したモノづくりの結果を活かして次のアイデアも閃いてくるだろうし。(酒井に)そんな風に“うごめき出し”たらすごく面白いねって言ってたんやな?」
(酒井頷く。)
― 玉木さん自身は総合ディレクターみたいなポジションで関わるんでしょうか?
玉木「自分も紙に書かなきゃと思ってます。私もスタッフも同列やから。私やから別扱いで特注作れるかといったらそういうわけじゃないんですよ。私も自分の企画は紙に書いてこれ出したい、とデザイン会議に入れますよ。で、ボツにされたら悔しいけどもう一回描く(笑)。それはだから、老若男女・色んなお客様がショップにいらして下さっているというのもあるし、10代から60代まで色んな年齢層のスタッフが増えてきたので。その世代ごとに求めるものって全部違うでしょ?本当に色んな世代の、自分がお金出して買いたいなと思うものを、各自がしっかりと分析して、それを“声”にするっていうことがすごく大事だなと思ったので。」
酒井「大枠で、それこそ皆んなでこうゆうことがやりたいなっていうものを出し合って、皆んなでアルゴリズムを考えて・皆んなでプログラミングして・皆んなでカタチにして。そうやってカタチにしたものに対してショップでどういう風なフィードバックがあるのかを皆んなで検証して、次のクリエーションに活かすっていうサイクルを確立出来れば楽しいよな。今までは僕たち2人でやってた部分も含め、皆んなでやる・皆んなでやろう、ってなれば楽しいよな。」
玉木と酒井がこれまで二人三脚で構築しtamaki niimeを特徴付けてきた、身につける人を選ばず誰もに愛されるモノづくり。それに加えて、今回スタートしたのは、スタッフそれぞれの能力を引き出し各世代・各顧客ごとの嗜好に向き合ってゆくという、新しいクリエーション。tamaki niime全体で取り組んでゆくこの新たなモノづくりについて、スタッフの玉木睦美(人事など担当)と藤本尚子(ニットなど担当)からも話を聞いてみる。
藤本「まだスタートしたばかりなのですが、今までは万人に向けて大きな人から小さい人までワンサイズで誰もが着れるようなもの、同じデザインでありながら色んな人が着てもフィットする、というモノづくりをしてきた中で、今年はそこには捕らわれずに、大きい人なら大きい人向けのデザイン、小さい人なら小さい人向けのデザインをやってみようと。それぞれの的に向けると自ずとデザインも沢山出て来るので。」
― スタッフの年齢層が幅広くなった事も、新しいモノづくりの方向性に関係しているようですね。
藤本「例えば20歳くらいのスタッフは私たちの世代にはない目線を持っているので、そこは層が広がったというか。」
玉木「自分と同世代の嗜好を想定してアイデアを考えるのも良いですし、全く自分とは違うからこそ、この人はこうゆうのを着るんじゃないかというような目線があっても良いし、もう縛りなく何にも捕らわれずに。異なる目線を交えつつポイント・ポイントに絞った発想で、これまでとは違ったデザイン・作品を創っていこうというところです。」
藤本「そうですね。そのように、適材適所に柔軟に、且つ、迅速に対応できるところもtamaki niimeならではの強みですね。」
― 新たな実験による作品が出来上がったら即ショップに並べてみて、お客様の反応をダイレクトに得るということも聞いています。
藤本「だから本当にめまぐるしく臨機応変さが問われる感じになってきますけど、それが出来たら、本当に…“無敵”ですね。」
― Shop & Labならではというか、すぐにお客様からの反応が返ってくるので、またすぐにモノづくりに反映出来ますね。
藤本「アイデアを出したスタッフも製作したスタッフも、気になってショップを観ますし。」
― 皆んなで手掛ける作品になってゆくというか。
玉木「まだ立ち上げたばかりなので、試行錯誤の段階で時間はかかっているのが現状ですけど、慣れてくれば会議で出たアイデアを直ぐに実現する事も可能だと思います。少しずつ成果が上がっていき継続していく仕組みが作れればということで今取り組んでいます。あえて締め切りを設けずに、出来上がったその時々に出すと。場合によってはダメ出しが続きカタチになるまでに何ヵ月もかかるという事もあるかもしれませんが。」
藤本「シーズン毎の、今だったら秋冬ものとかは従来通り先行してきちんと在庫を揃えて行きつつ、新しいアイデアもカタチにし現代進行形のものを毎月出して、両方やってゆくという。なので二刀流というか(笑)。そんな感じです。」
スタッフの持てる力を融合させShop & Labが共存する環境を最大限に活かしながら、よりアクティブに進化してゆくモノづくりへ。常に時代の数歩先を見据えた、弛まない実験心を携えて、tamaki niimeは新たな進路へと舵を切っている。
書き人越川誠司
As represented by the shawls, tamaki niime’s work of art has been widely loved because of the expression of the freedom; free from limitation of age, gender or body shapes to wear.
With a variety of staff gathering in Shop and Lab; creates the ideal environment for creations, the possibility of different works is beginning to grow. This style allows each staff member to bring a wealth of ideas and synergises their advanced abilities.
“I should not be the only one who pursues colours and shapes of design. All of our staff have to be creative”, Tamaki said. I asked her about the agenda for encouraging new creations.
- Tamaki
- “Here is our new agenda… well, I used to dye threads, line up the colours and weave them by myself. I was able to imagine the finished concept inside of my head because I created the item from dyeing, but now that particular process is split. For example, some staff focus on dyes. Our ‘creative baton’ then has to be handed on to the next group. We can’t create more exciting works of art unless we have a strong bond.
-How do you share or discuss the image between the staff?
- Tamaki
- We focus on it right now. We carefully discuss concepts, like requesting colours or changing here and there clearly to make exciting new creations. Because I would like to focus on designing shapes, and also a variety of colours that I have not created before. I want to develop unique variations.Synergistically, I hope each staff becomes an ‘individual creator.’
- Sakai
- In a sense, it is an experiment.
- Tamaki
- What we are trying to change now is that making a well-organised team or group which can always be creative. Our hope that if they have an inspiration, that they should go for it. Currently, they are still focusing on producing rather than creating.So I really want to change and establish this agenda this year.
– The most significant theme of this year, right?
- Tamaki
- Yes. We told our staff including salespersons and part-time workers to turn in an assignment or something like a presentation for each week; writing an idea on a piece of paper about colours, shapes, design or pattern about ‘something each one hopes to have’. Then the design team considers which one should be made as a sample and start creating. That’s how we begin with our new creations. I don’t want to make a large amount of new designs simply because a new season has come. It starts with our new ideas, and the goal is reached when we complete our creation. That’s when the presentation of a new collection comes. No time limitations or anything. We may create ten different things at the same time or only make one in a whole month. We prefer not to make deadlines just to get things done but to create, bursting with inspiration. That’s how our team supposed to work. Actually, we used to set a deadline and were eager to complete by a particular time of the year. For example, we used to schedule to complete the autumn/winter collections by May. Since we changed our system, we can make new designs all through the year. So we don’t use assembly lines in full. 20% of the looms and knitting machines are for preparing samples. We have decided to leave one of the looms specifically to weave new creations to add different coloured threads. New creations are promoted simultaneously with the existing ones.
– You made a system where the ‘tamaki niime’ team can be a ‘creative experiment’.
- Tamaki
- “Our shop is an experimental facility. For example, we put ten of our newer works of art out at our shop. How do the customers react? How do they feel? What kind of impressions do they have? We can see whether they like it or not. They may not like it, or they may love it. From the time the idea was first born, we create, display the creation at our shop, and then get feedback from customers. That’s a whole series of our experiment. Based on the findings of our research, we’ll decide if we make improvements, make them more interesting, or make more because they are so good. In pursuit of better creations, newer works will come forth.
The individual who created the idea, from paper to concept is the ‘birth parent’ essentially. That is the starting line. Maybe they will not be good at sewing, so other staff members become part of the process, like a relay race. Handing the baton from one staff to another until we reach the goal. We all work together to get the baton to the finish line. Then, this leads to the next idea. (To Sakai) This kind of amazing creative process would be interesting. That’s we were talking about.
(Sakai nodded.)
– Is Tamaki herself in a position similar to a general director?
- Tamaki
- “I think I have to write my idea on paper as well. I’m not an exception. I write my intention to turn in at the design meeting. I can’t make a special order item. When my idea turns down, I’m sad; however, I try again. Heh… It is because we have more customers, young and old, male and female, coming to our shop and we have staff members from teens to sixties. Each individual prefers different things, right? It is essential to analyse what ages our customers are, and how they want to spend their money to buy their favourite goods, and write that down in order to discuss.
- Sakai
- “All the staff brings their rough ideas, and devises an algorithm, processes the concept together and then creates them. Then we will get feedback about our creations at our shop. We will examine it and make use of it in our next creation. If we can get this in motion, it must be fun. Well, we used to do this process by ourselves. I mean Tamaki and I. But it must be fun if every single staff can get involved and they are willing to do so.
The creations that Tamaki and Sakai have been working on together is loved by everyone whoever wears them. In addition to this, the new creation that we started will draw out the abilities of each staff member and face the preferences of each generation and each customer. Now, let me ask Mutsumi Tamaki (mainly in charge General Affairs) and Naoko Fujimoto (who is in charge of knitting, etc.) about this new creation system that we are working on as a whole ‘tamaki niime’ team.
- Fujimoto
- “We have just started this new system. We used to make one size fits all for anyone to wear. We also tried to create similar designs that also fit that idea. This year, however, we are trying to design separately. For example, designs for big people or designs for small people. When we can focus on a target, we can have more natural designs.”
– It seems that the fact the age group of staff has become more extensive is also related to the direction of production.
- Fujimoto
- “For example, the staff at the age of 20s has a certain point of view which our generation doesn’t have. So it seems that our creative concepts have grown wider.”
- Tamaki
- “It is good to think about an idea to simulate the tastes of same generation-customers. Also, it is interesting to have a different point of view for target customers, because they are different from you. We are trying to make different designs and work of art that we have never created before with no limitations and combinations of, focusing on the idea of different points of view.
- Fujimoto
- Exactly. It is a unique strength of ‘tamaki niime’ that we can be flexible and quickly respond to the right people in the right place. “
– When our new experiments are finished, they are immediately displayed at the shop, so that we can quickly gauge the customer’s reaction.
- Fujimoto
- “So we have to be quick and flexible, but if we can do that, it is really …” invincible.
– Because Shop & Lab is unique, as soon as the response from the customer comes back, it can be reflected in manufacturing as quickly as possible.
- Fujimoto
- “Both staff who produced the idea and those who made it, would be worried and will check with the shop.”
– Will it become a work of art that everyone works on together?
- Tamaki
- “Since we have just started up, it takes time to go through the trial and error process, but I think that it is also possible to immediately realise that the idea that came out at the meeting if you get used to flow of the process. What we are working on now is a mechanism that can just keep going, so if we do not have a deadline, we will put it out from time to time as it is complete. In some cases, it will be no longer possible to do no matter how many months there are, as things are like that at times.
- Fujimoto
- We are going to do both; keeping items adequately stocked for each season, as well as working on ideas for new creations every month. It is pretty versatile.
Well (laugh), that’s how we are.
Integrating the abilities that the staff possesses and then making the most of the environment which coexists with Shop & Lab while creating products that evolve more actively, ‘tamaki niime’ will tack a new course with a constantly innovative spirit that always looks to be ahead of the times.
Original Japanese text by Seiji Koshikawa.
English translation by Adam & Michiko Whipple.
Original Japanese text by Seiji Koshikawa.
English translation by Adam & Michiko Whipple.