niime 百科
Encyclopedia of niime
「わチーム」って?
〈後半〉
What is the "Wa(わ)team"??
〈part 2〉
〈後半〉
〈part 2〉
2020 . 04 . 01
〈前回からの続き〉
― では、皆さんの愉しさってどんな部分ですか?
本岡「私個人としては、モノづくりをしている現場でそれを伝えるデザインが出来るっていうところは、愉しみかなって思ってますけど。すべて自社でやってることなので、内部のこともわかっているし、人間関係もちゃんと築けているから、その上で自分の手で伝えられるっていうのは愉しいかなと思いますね」
― 直に伝えられる愉しさがあると。
本岡「あとは服づくりだけじゃなくて色んなことに取り組んでいるという部分。可能性が色んなところにあるという」
― 実際に本岡さんは縫製チームにもいたわけで、モノづくり現場の感覚をわかっているというのもあるでしょうし。久保さんはどうですか?
久保「差し込み案件も非常に多くて、優先順位が一気にドッと変わるんですけども、制作の自由度がかなり高いので、最初に持っていくアイデアの提案とかは幅広く出来るっていうのはやってて愉しいですね。例えば催事のDMのアイデアをA案・B案・C案とつくったとして、全然違う方向を向いてたとしても一度見てもらえる。そこから絞っていけるというのがあるから」
― その辺の許容度っていうのはかなり高い…
久保「そうですね。それをしながら、本岡さんが言うように、今回はこういうニュアンスなんじゃないか?と探っていくためにも、最初にざっと異なるアイデアを提出しておく。で、自分的には意外やな、と思う案が通ったりとか(笑)」
― 想定外の(笑)。
久保「…とかもあるのでそこはやってて面白いですね」
― そこはけっこう醍醐味ですか?
久保「うん、社長とか酒井さんのリアクションとかも面白いですね。これイケルやろ、と思ってたのが全然アカン、とか」
― (笑)。で、A案が通ったとして、そこから後は久保さんの裁量で?
久保「最終チェックとかはもちろん仰ぐんですけど、そのヴァリエーションで他の販促物を作成するところは手を替え品を替え、もう自由にやってます」
― ひとつ方向性が決まれば、あとは自由に。
久保「そうですね」
― お任せ的な。そういう自由度の高さがあると。大濱さんはどうですか?
大濱「そうですね。ここで感じる愉しさは…怖さも実ははらんでいるんですけど、僕はこれまで何社か渡り歩いてここに辿り着いてるんですね。業界も違えば会社規模も違うところをいちおう経験してきた中で、ことシステムに関してもそうですし、今この仕事だったり役割でやってることって、普通のいち一般社員がやる深さじゃないよね?っていう部分も、なんのためらいもなく任せてくれるところがあったりするんです。例えばシステムで言えば、お金の根本に関わる部分とかを考えなくちゃいけないですし。普通の会社の場合だとそこは本社の一部の人が握っていて、ほぼほぼ出来上がってる土台の上で改善して行ってね、というのが多いでしょうけど。「根っこ」の話じゃないですけど、現状あるものを改善するために、結局根本をどうすんの?みたいなところからカタチにしていけるっていうのは僕だけしか経験出来ないわけで、そこはまた愉しさでもあるのかなと思いますね。最初に言った“怖さ”っていうのは、その反面、土台が揺らいだり間違いがあったりすると…影響が大きくなるな、というところですね」
― なるほど。相当に任されてる感がありますね。
大濱「それはでも、悪い意味での“怖さ”ではなくて、良い意味での緊張感というか」
― 「わチーム」として外と社内をつなぐ、社内のshopやモノづくりの現場であるlabをつなぐというところはどうやって?
本岡「創った作品を販売スタッフが売るわけですけど、創ったモノを単に売ってるというだけならウチを知らない人は振り向いてくれないので、やっぱり外に情報を出すっていうところで、新しいお客様を呼び込むという意味でつないでいる、ということだと思うんですよね。外に向けた発信かもしれないけど、それによって社内の流れもつながっているということと、あとは、分かりやすいところで言うと、出来上がってきた作品を撮影して、その一点モノの作品の色だとかどういうモノを創ったかっていう情報をQRコードに登録してるんですが、それによっていつどこのお店で売れたのかや、売れてないモノの把握ができたり在庫情報がわかったり、じゃあ次はどういう色でどういう作品でいこうという計画を立てる時にも使えてるっていうところが、外と内をつないでいる部分ではあります」
― QRコードは、作品それぞれのプロフィールというようなものだと言えるでしょうか。
大濱「そうですね」
― なるほど。それによってお客様の反応なりが集積してくるわけですね。わかりました。それでは最後に、「わチーム」の皆さんそれぞれの今後の展望などお願いします。
本岡「私の展望としては、さっきも言ったように、「根っこ」のところをもうちょっと表現できるような仕事ができたら良いなっていうのと、「つなぐ」っていう話で言うと、いまはSS(春夏)とかAW(秋冬)とか半期単位で生産をしてるんですけど、その期ごとのテーマじゃないですけど、もっと皆んながそれに沿ってモノづくりをしてっていう…イメージというか」
― イメージ的な…ビジュアルというか。
本岡「そうですね。それを統一して表現するようにできたら良いな、というのがあります」
― はい。
本岡「そしたら創る側も売る側もラクというか。ビジュアルがひとつ販売時にあれば、こんな感じでやってるというのがお客様に伝わりやすくなる」
― 外に向けて訴求するツールとしても使えるようなもので…なるほど。それをいま半期単位で試みていると。
本岡「シーズン単位でそれまではやってて、1年前くらいからテーマを決めて服づくりとかをするようになってきたんですけど、そこの創って・販売してっていうのがまだ…テーマに沿って創ってはいるけど、それがうまく販売にまでつながっているかっていうと、テーマがこうでこうなって、という説明までは多分全然出来てなくて、それは皆んなのイメージが統一できてないっていうのもあるし、そのためのツールがないっていうか」
― なるほど…。
本岡「実際に作成するかどうかは別にして例えばパンフレットだったりとか、今期はこういうイメージでやってるんだ、っていうのを外にも中にも説明ができるようなものが今無くて」
― そこを“見える化”したいってことですね。
本岡「そうですね。動きとしては今あるんですけど、ちゃんとやらないといけないなと」
― 大濱さん、どうですか?
大濱「僕はですね、僕も「根っこ」からの延長線上になってくると思うんですけれども、社内に関してもお客様とに関しても、今これが必要だ、というところで、あるものを改修し、ないものを創っていってるわけですが、良く言えばすごく進化して行ってるんですけれども、なんだろう、見方を変えると統一性のない仕組みになっていってるのでは?とちょっと危惧しているところがあるんですよ」
― そうなんですね。
大濱「いろんな仕組みやシステムがあるんですけれども…」
本岡「足して足して、してる」
大濱「そう、足して足して、つぎはぎになっていってるんで…」
― ああ〜。“つぎはぎ感”があると。
大濱「そうなんですよ。なのでこう…規模が小さいうちはそれでもいいんですけど、段々段々ビジネスとしても組織としても大きくなって来ると、いざ次、何か重大な転機が来て、変えなくちゃという時に段々自由が効かなくなってくる、無理が生じてくるっていう」
― 段々身動き取れなくなるって感じに?
大濱「ですよね。なので、いろんなことをやってるtamaki niimeが、その仕組みの最適なポイントを見つけたら、おそらく最強なんだろうな、と思うんですよね」
― う〜ん…なるほど。
大濱「そこが何か?っていうところを、今の延長線上でちゃんと考えたいし、それを着実にカタチにしたい、って思ってます」
― はい。
大濱「内部で言えば管理システムっていう基礎は僕が入社する前から創ってくれてるので、そこにちゃんとB to Bという法人取引であろうがB to Cというonline shopであろうが、そこから繋がる個人情報の管理であろうが、一部の人間しか使えないマニアックなものではなくて、様々な経歴のスタッフがいる以上、知識や経験に違いがあってもちゃんと誰もが無理なく使えるものにしたいし、それがひいてはお客様の満足に繋がるんじゃないかと思います。外に目を向けた時でも結局根本は同じだと思っていて、単にデザインだけじゃなくて、online shopっていう仕組みもそうですし取引先さんに使ってもらってる仕組みもそうですし、今後メールマガジンだとか、LINEを使った発信であるとか…今SNSも3つも4つも使ってるわけですけど、段々と色んなところに手を伸ばしていって“いびつ”なものにならずにちゃんと発信するためには、どういうカタチ、内容、頻度が良いのか?ってところは最適な答えがあると思うんで。もしかしたら集約するにはアプリを創ることなのかもしれないし、「niime村」構想というのもあって、それをウェブサイトとして創った方が良いのか?とか。お客様との繋がり方としても、単に買い物をしてもらう以外の人とも繋がりたいと」
― あらゆる可能性が考えられる感じですね。
大濱「究極的なことを言ってますけど、その最適の点はどこなのか?っていうのを、システムを創るというところを通して、僕はこれからの展望として考えて行きたいなと思ってます」
― 見せ方に関しても「最適化」というところで注力されてると思うわけなんですけれども、久保さんどうですか?展望として。
久保「現在僕は入社して一年弱なんですけど、テーマを持ってモノづくりをするというのが始まった中で、2019年のAWと2020年のSSについてはテーマが直接的に広告に反映されたわけではなかったわけですが、今季のAWからそうなりそうなので、そこで普遍的で変わらない部分と、半期ごとのイメージっていうのをちゃんと統合が図れるようにしたいなと。で、僕は映像とかを最近触るようになったので、それをもうちょっと広げて時間軸を持った表現をしていけたら。映像はやっぱり「飛び道具」的なところがあるので、まだtamaki niimeを知らない人のところにも届けたり、そんな風なものを創っていけたらなぁと思ってます」
― そこは場当たり的なアプローチじゃなくて、ある程度のスパンを設けた中で展開を図りたいという想いがあるわけですね。
久保「そうですね。尺によってどこを切り取ってもちゃんとtamaki niimeである、っていうか。短い尺であったとしてもこれは一編のtamaki niimeだっていうものが創れればいいなと」
― ちなみにSSやAWのテーマとして設けられたものというのは?
久保「風、土…」
本岡「今だったらSSが始まったんですけど、そのテーマが「土」で、次のAWが「火」です」
― つまり最初が「風」で。
本岡「ひとことで「火」って言っても、イメージが広いんで、あったかい印象を持つ人もいれば激しい感じを持つ人もいる可能性があるじゃないですか。そこを集約してイメージを固めようとしているところです」
― そのキーワードっていうのはミーティングで出てきたわけですか?
本岡「1年前くらいに半期ごとのテーマを決めようとなって、その時に五大元素の話が出て、じゃあそこからテーマを取っていけばというところに最終落ち着いて。最初の去年のAWが「風」で。ひとつひとつの持つイメージが幅広いから、今「火」のテーマのイメージを絞り込んでいます。「火」の周りに人が集まるとか、例えばキャンプであったり、そんな野外で人が集まるという感じに。「火」から「暖かい」とか「集まる」とかのイメージを導き出して、そういう方向でいこうとしています」
― 面白そうですね。
本岡「テーマに沿ってイメージを創っていくっていうのがまだ探り探りの状態で、その方向でうまくいくのかは、今回頑張らないと」
― お話を聞いて、「わチーム」の皆さんに共通なのは、ベーシックな部分でどうtamaki niimeを最適化し発信をするか?というところなのかなと思いました。今日はどうもありがとうございました。
本岡「こんな感じで良いんですか。大丈夫かな?」
― 今回ちょっとマジメ路線でいこうかなと。
本岡「フフ(笑)」
日々PCの画面に相対し、前回の「染めチーム」の“奔放さ”とは真逆の、どこか寡黙でクールなムードを漂わせる「わチーム」のスタッフたち。この幅の広さもまた、tamaki niimeらしさなのかも。
tamaki niimeの「根っこ」を深掘りしつつ、システムを構築しテーマを設定し発信を手掛ける。作品のクリエーションとはまた異なるクリエイティブでかつ重要な役割を担う彼らの脳内世界と秘めた想いを垣間見れた取材のひとときだった。
書き人越川誠司
—— What part do you enjoy the most?
—— It’s really great to be able to communicate with everyone directly, right?
—— Actually, Ms Motooka, you were also in the sewing team, so you probably understand the feeling of being at the origins. How about you, Mr Kubo?
—— The tolerance of that area is quite high …
—— Unexpectedly? (laugh)
—— Is that the best part of your job?
—— (laugh) Then, after Plan A passes, is it up to Mr Kubo?
—— Once they have decided on the direction to take, you are free to do the rest?
—— It’s all up to you. You have such a high degree of freedom, right? How about you, Mr Ohama?
—— I see. I get the feeling that you are really trusted.
—— How does your work as the “Wa team” connect to what goes on outside the company, the shop and lab in regards to the origins?
—— Is the QR code like a profile for each work?
—— I see. As a result, the reaction of customers will be collected. I understood. Finally, please tell me about the future outlook of each of the “Wa team” members.
—— Image … you mean, visually?
—— Yes.
—— Something we can use for outsiders … I see. That’s what you are trying for half-year period.
—— I see….
—— So you want to “visualize” it.
—— How about you, Mr Ohama?
—— Oh, I see.
—— Ah…there is a “patchy feeling”, right?
—— Feeling like you can’t move?
—— Hmm … I see.
—— Yes.
—— I think you can think of all the possibilities.
—— I think that you are focusing on “optimization” in terms of presentation. What about you, Mr Kubo? As a perspective.
—— You have a desire to develop within a specific period, rather than an ad hoc approach, right?
—— By the way, what was established as the theme of SS and AW?
—— So, the first theme is “wind”.
—— Did the keyword come out at the meeting?
—— That sounds fun.
—— Listening to the story, what is familiar to everyone in the “Wa team” is how to optimize and transmit tamaki niime into the fundamentals. Thank you very much for today.
—— I think I should go with a serious mood.
The staff of the “Wa-team”, who works with PCs every day, is the exact opposite of the “Dye team”, and has a quiet and relaxed mood. This breadth may also be part of tamaki niime.
While digging deeper into the “root” of tamaki niime, they set up a system, set the theme, and deal with the delivery. It was time for me to get a glimpse of their inner world and secret feelings, which play a different role in the company rather than the creation of the work.
Original Japanese text by Seiji Koshikawa.
English translation by Adam & Michiko Whipple.