niime 百科
Encyclopedia of niime
編みチーム・山下が語る、“一点モノ”のもつ可能性。
Mr Yamashita, of the ‘Knit team’, speaks about the potential of 'one item products '.
2021 . 06 . 24
tamaki niimeに加わるずっと以前、若い頃から服づくりを志し、アパレルの世界で豊富な経験を蓄えてきた「編みチーム」山下匡直。
机上のデザインに飽き足らず、素材の綿選びから営業まで、自らモノづくりの現場を渡り歩き血肉化してきたその姿勢は玉木とも合い通じる。
「服」をこよなく愛し世界の「共通言語」と捉える彼に、「編みチーム」の近況報告から、tamaki niimeの一点モノのモノづくりが備える無限の可能性までを語ってもらった。
今年に入って「編みチーム」のスタッフは丸編み機やホールガーメント(※)と一緒にLabの2階へと移動。一階部分が暗くならないようにと編み機が設置してある床はメッシュ状の素材になっている。
※縫製せずに、縫い目なしに作品を丸ごと編み上げる最先端の横編み機
山下「カットソーやニットの需要が増えて、作品点数も増えている。編み機も、生産が間に合わなくなってくるタイミングで一台ずつ増やしているんです。ホールガーメントも今は大型のと小型のと一台ずつ増えて三台ずつ。でも増えたら増えたで、出来るだけ機械を止めずに動かしたいというのがあるし、もちろん本生産は大事ですけれど、サンプルをつくる時間もちゃんと取らないといけないという考えもあって。」
― 試作品づくり、「編み」における“実験”ですね。
山下「本生産にかかりきりにならずにサンプルをつくるというのが大切なところなので、機械を増やしているというのがある。機械が増えた分生産量も増えてそれに伴って始末や仕上げも必然的に増えてそれに追われる日もありますけど、サンプル製作の時間は出来たと思います。」
― 新たな試みなどについて聞かせてください。
山下「編みに関して言えば、Labの中にストックされている様々な色糸を組み合わせるところから始まるんですけど、1種類の糸を用いて創るよりは、3種類、4種類の色糸をミックスして作品を創ってるんですけど、やっぱり表情的にはその方が面白いモノが出来るんですよ。」
― はい。
山下「でも難しいところは、その組み合わせによって、イメージしてたモノになる時もあれば、物足りない場合もある。そういったところを考え合わせながら取り組むのが時間がかかる部分かなと。」
― 想定外に面白いモノが出来た、ということもあるんですか?
山下「それもありますね。パッパッパッて色糸を選んでこれでちょっとやってみようと、小さなサンプルを一回編んでみるんですけど。」
― 色糸を選ぶのは山下さんが?
山下「自分も含めてデザインする人間が選ぶんですけど、糸の特徴の違うものを一緒に編むと何か面白い風合いになったり、何か触ってみて独特な感触があったりする時があって、それがすごく愉しいですね。面白い。そこにすごく可能性も感じるし、いわゆる「デザイン」っていうと服のカタチとかになるかもですけど、自分たちはそういった糸の組み合わせからデザインしていってるんで。」
― ええ。
山下「だから他所にはないニットを提案できているとは思います。」
長年アパレルの世界でモノづくりに関わって来た山下は、若い時から数多くの生地に実際に触れて来たという。
山下「最初にいた会社が糸の素材の綿からこだわって選ぶモノづくりをしていたので、そういうところから創るのが好きで。お店に入っても、服のデザインよりも生地を握りしめて、手のひらで生地の感触を確かめるっていうのを、昔からずうっと、今でもたまに服屋さんへ行ったらやってるんですけど。」
― 目で見て手で触れて。
山下「今まで色んな生地を見て来た中で…この風合いって不思議やな、っていう場合があったり、大昔に創られた服とかの風合いっていうのが、その年代にしかないものってあるんですよね。」
― はい。
山下「で、なんでその風合いが今では出せないのか?って考えたり。感覚的な話になるんですけど、自分が糸を選んで編み上がった生地に触れた時に、あ、これ何か不思議な感じがするってゆう。これって世の中にはない感触やな、とか。今までに自分が見たことのないモノになってるなっていうのをカタチに出来た時、出来上がった時が面白いというか、これを人に伝えたいなっていうか。紹介したいなっていうのがありますね。」
― なるほど。世にない新しいモノですね。
山下「だからパッと見的には、そんなに生地のことを意識していない人には同じに見えるかもなんですけど、自分的には全く違うモノなんです。」
未知の生地の手触りへの飽くなき追求は、もっとふんわり、もっと柔らかくと、ショール開発を突き詰めた玉木の姿勢とも共鳴している。
山下「もともと古着が好きで。その時代背景をイメージしながら、今の時代の今の服として創るみたいなことをずっとやってきたので。」
― やっぱり、掘り下げるタイプなんですね。
山下「綿の素材であるとか、糸の撚り具合とかね、いろいろと知りたいと、調べられるところは調べながらやってきましたね。」
― 研究熱心ですね。
山下「やっぱり古着ってゆうのは、今みたいには色んなデザインの手段がない中で創作されてたり生地が創られている背景があって、なんで何もなかった時代にこんな風にデザインしたのかな?とか、なんでここにポケットを付けたんだろう?とか、正解か不正解かはわかんないですけど、ひとつひとつ自分なりに検証して、納得した上で自分のデザインに取り入れたりとか。なんでデニムがインディゴ染めなのか?、とかね。」
― 今もその探究心は変わらずに。
山下「今もずっとやってますね。モノつくる時には…なんか机の上でデザインだけパーッとやる、っていうのはイヤで。パターンも自分でやるし。」
― 去年あたりから「染めチーム」で染めた斑(まだ)らの染め糸を使い始めたと聞きました。
山下「実は何年か前から少しは使ってたんですよ。以前から創ってはみてて、こうゆうモノが世の中の人に受け入れられるのか?っていうところもあったり。」
― 斬新過ぎて(笑)。
山下「そうそうそう(笑)。見た目は面白いんスけど、これを着る人は?、と。…で、まだその頃はOnline Shopとかもやっていない時期で。」
― ああ〜、なるほど…。
山下「作品を観てもらえる人っていうのは今と比べると本当に限られてた中で、そういった染め糸を用いたモノがどこまで受け入れられるのかな、っていう実験的な部分もあったみたいな。けどオンラインがスタートして、色んな人に観てもらえるようになって、tamaki niimeのアイテムとしてもニットを買ってくださる方が増えてきた中で、色々と挑戦できるようになったんですよね。」
― Online Shopに作品を上げるとすぐにダイレクトに反応が返ってくるということで、冒険もしやすくなったと。
山下「そうですね。一点モノを創ってるんですけど、ムラ染めされた糸を使って編むと、さらに一点モノを強くアピール出来るというか。違いが出せるんで。」
― はい。
山下「染め糸を使ったニットっていうのは、ブランドとしての、自分たちの大きな武器だなぁと思ってます。」
― なるほど…。
山下「やっぱり「偶然性」がすごくあるんで。同じムラ糸を使って編んでも、その編むタイミングで全然柄の出方が変わるんで、そういうとこも面白いなぁって。ムラ染めなので計算されては染まらないので、それでこう、ランダムな柄の出方になって。」
― ふむふむ。
山下「この柄面白いなぁっていうモノはオンラインですぐに売れたりしますね。やっぱりそういうところが面白いですね。反応がすぐあって。」
― 編んでみないとわからないところもあるわけですか?
山下「あります。ムラ染めではなくても、4本の色糸の組み合わせで編み上げるので、それも混ざり具合が機械から出てくるまでわからないことがありますね。」
― デザインというか、計算している部分はどこまでになるんでしょうか?
山下「カタチまで、ですね。うん。」
― 色合いは偶然というか?
山下「ある程度まではイメージ出来てるんですけど、やっぱり一点一点、色糸を変えていってるので、こうゆう色の出方になるのか、とか、これ自分的には冒険してみた色の組み合わせやったけど出来上がったモノを見ると、すごく落ち着いた雰囲気に仕上がったな、とか。ありますね。」
― 面白そうですね。ワクワク以上にドキドキもあったり(笑)。
山下「ドキドキ(笑)。最初の頃は玉木さんも編み機を触ってたので、色の組み合わせ方であるとかアドバイスをもらってすごく勉強になりましたね。今でこそパパパッと色糸選びできるようになったんですけど、最初は色々試行錯誤しながらやってましたね。今年はさらに自社で染めた色糸を使って編んでますね。実験が出来るのは、自分たちが一点モノのモノづくりをしてるからで、もしこれが同じモノを大量につくるとなると実験が愉しんで出来ないんじゃないかなと思ったりもしますね。」
「染め」×「編み」×「縫製」…それぞれのチームが行う実験をそれぞれ掛け合わせてゆくと、tamaki niimeの一点モノのモノづくりの可能性の広がりは無限なわけだ。
山下「一点創るごとに糸の色の組み合わせを変えるから、これはちょっと面白そうやけど、どんな色で出てくるかわからないぞ、というモノにもチャレンジできるんです。これがもし、必ず売れるモノを狙ってつくらなきゃいけないとなると、色の組み合わせ方にしても遊べなくなる。そんな環境になると思うんですよね。」
玉木もかつて語っていたように、従来型の、品質が均一なモノを大量につくるやり方では顧客ひとりひとりではなく、最大公約数を想定するようなアプローチにならざるを得ない。
― なるべく多くの人に受け入れられるようにとなったら、尖ったモノづくりよりは無難にまとめようとする傾向が強くなるでしょうね。
山下「そうですそうです。」
― 例えば、“毛色の変わった”作品が誕生したとしても、それを気に入る人が、100人のうち一人くらいはいるかもしれない。その一人に素敵さが届いて買い求めてもらえれば良い、ということですよね。
山下「うん。絶対…というとアレですけど、一人はいてるやろ、というね。で、なんかそうゆうモノづくりそのものを面白いと思ってくれる方もいらっしゃるので。」
― そこは大きなモチベーションにもなりますよね。
山下「そこがやっぱり自分たちの武器やし、自分たちのモノづくりのファンをもっともっと増やして行きたいですね。」
― 一点モノのモノづくり、みんな違ってみんないい。
山下「色んなモノづくりのやり方があるんで、どれが正解ってゆうのはないんですけど、自分たち独自のモノづくりがあって、ちゃんとそれを理解してもらえて、愉しんでもらえて、また買いに来てもらえて。この世の中に色んな種類の服がある中で、自分たちの存在意義をちゃんと示していけば、愉しくモノづくりが出来て、また人を愉しませることができるんじゃないかと思いますね。」
― 以前お話しした時に、山下さんの、服は世界の共通の言葉ってゆう、モノづくりを通して世界とコミュニケーションしたいという想いを聞いたんですよ。実際tamaki niimeの作品は、Online Shopの存在もあって、さらにボーダレスに世界中に広がって行っているわけですけど。
山下「確かに世界中の人に知ってもらえる機会は増えていますね。でもまだまだ知ってもらいたいな、っていうのがあるし、やっぱり、「日本発の世界ブランド」、というのが自分にとっての夢であるところがあって。なので、もっともっと世界へ…発信したいですね。」
― ええ。
山下「この「tamaki niime」というブランドを、色んな人に知ってもらって、愉しんでもらいたいですね。4月に東京・青山の「スパイラルSPIRAL」でイベント出店した時も、一点モノのモノづくりをしているというところでファンになって、そこからずっと作品を買い続けてくださるお客様もいらっしゃるんで。」
― 接客は山下さんがされて?
山下「そうです。元々ヴィンテージ・ウェアの一点モノがお好きな方で、8日間イベントしたうちの4日くらい来てくださって。一点モノなので他の方に売れてしまうと全く同じモノはなくなってしまうので、そういう点も魅力みたいですね。」
― お客様と作品の「一期一会」みたいな。
山下「だから、接客してても面白いですね。その一点モノの作品に対しての自分の考え方とか感じ方を接客で伝えるようにしてるんですよ。必ずその日の展示の中で自分が一番良いなと思うモノを決めて、それをどなたかには勧めるようにして買っていただいたり。だから一点モノだからこそできる接客の方法もあるし、そこで生まれるお客様との会話も愉しいし。ほんとにね、創るのも面白いし、接客で言葉を交わすのも面白いし、すべては愉しいコトにつながる、そんなモノづくりに、自分としてはなってますね。」
― 接客にしても、一点モノならではの“スペシャル感”が付いてくると。接客とかはこれまでにも経験されてたんですか?
山下「接客も営業も経験してるし、裁断場さんや仕上げ屋さん、Tシャツをたたむ工場さんに1週間通い続けたり…アパレルの世界を全部知りたくて。そこで働いてる人たちの仕事に対する考え方であるとか。仕上げの作業って、色んなブランドのモノに下げ札付けて、検品して、袋に入れて、箱に詰めてってゆうのをずっと毎日引き受けてされてるんですけど、どんな想いで働いておられるのかなとか、愉しんで仕事をしてもらえてるのかなとか…ってゆうのを知るために、もう、ありとあらゆるところに足を運んで。刺繍屋さんだったら自分が仕事する机を用意してくれたりね。そこでデザインしたりしてましたね。」
― モノづくりに関わるあらゆるシーンを実際に身をもって体験して知って感じてきたわけですね。山下さんのアパレルに関する知識とか経験値とか、もう群を抜いてますよね。若いスタッフに伝えたいという気持ちがわかります。
山下「色々と経験して来て、そんな中で玉木さん・酒井君と出会えてラッキーやったし、一緒に働けるようになって、愉しいです。」
― 前に「編み」チームに取材した時にトゥーさんから聞いた、エプロンとか日用品だったり、暮しのモノづくりの展開はどうでしょうか?。
山下「エプロンとか傘とかスリッパ、ホームウェアについても以前から取り組んでいて、アイテムとしては増やしていってます。」
― ライフスタイル、暮らし密着の方向性が具体化してると。tamaki niimeでこんなモノがあったら良いのに、というアイデアがカタチに。そこは女性からの意見や要望が大きいですか?
山下「そうですね。そこに関しては女性スタッフからの提案が強いですかね。僕の場合は…やっぱり…「服」ですかね。」
― やっぱりウェアの追求を。
山下「それだけ服が好きなんでしょうね(笑)。あと、メンズのお客様も増やしたいです。」
― もともとメンズの世界にいたから。
山下「はい。「tamaki niime」というと、今は女性のお客様のブランドというイメージが強いと思うんですけど、そこを変えて、男性の方にももっと来てもらえるように。モノづくりそのものは今までと変わらないですけど、もう少しこう、男性の人にも着こなしてもらえるようなアイテムを増やせたらな、と思いますね。」
― そこはぐるっと一周して原点というか。播州織自体もメンズシャツの生地が主力という歴史もありますし。そこで山下さん流のアレンジを効かせていただくというか。今後のtamaki niime作品のひとつの柱としてメンズを、ぜひ。
山下「うん。やりたいですね。」
― では、最後にこれからの抱負を、お願いします。
山下「そうですね。自分は編みだけじゃなくて色んなデザインをやってきてるし、やっぱり今までに経験してきたことを活かして、もっと世界中の人に知ってもらいたい、というのがあるんですよね。自分がアパレルの世界に入ったきっかけが、服を通して世界中の人とつながりたい、ということで。その気持ちは本当に若い時からずっとあって、それって、何十年経っても全然変わらないんです。「ゴール」ってどこかって聞かれたらわかんないし、まだ全然見えてないんですけど、ここからはここがゴールっていうのを決めて動いて行きたいなと。」
― 山下さんなりのゴール。
山下「自分なりの、若い時にこの世界に入ろうと思った、その想いのゴールですね。ここが目標達成の地点だという。そこに向かって、tamaki niimeで色んなことにチャレンジして。ここでしか、tamaki niimeでしか出来ないモノを世界に発信していきたいですね。だからほんとに新しいモノづくりの在り方ってゆうのを確立して、世界中の人に届けたい。」
従来の消費社会の有り様、ファッションはじめ均質な大量生産型の製品づくりの行き詰まりが世界を覆うこの時代に、ひとりひとりに応じる「一点モノ」を創作し世界中に届ける、そのための量産を掲げる、tamaki niimeのモノづくりの無限の可能性。
「一点モノ」作品の創り手とそれを身につける者との、かけがえのない、一対一の関係性。それもまた、唯一無二のものだ。
ブランド「tamaki niime」には、未だ見ぬ新しい社会へ向けた、モノづくりのあり方そのものの、歴史的なパラダイム転換を促すだけのポテンシャルが秘められている。
服の世界を知り尽くし、今tamaki niimeでのモノづくりに心血を注ぎながら自らの理想を追い求める山下との会話から、改めてそんな風に深く感じた。
書き人越川誠司
Long before joining ‘tamaki niime’, Tadanao Yamashita wished to make clothes since he was young. As a result, he has abundant experience in the apparel industry.
He was not satisfied with just creating designs. He worked through manufacturing fields, choosing materials before running a business, and made it part of himself. His professional attitude and passion for work are very similar to Tamaki’s.
He loves clothes and considers them a ‘universal language’. So we asked him about the current ‘Knit team’ and the unlimited potential that one-item products ‘tamaki niime’ creates.
At the beginning of this year, the ‘Knit team’ moved upstairs with the *WHOLEGARMENT and circular knitting machines. The mesh material is used on the second floor, where the knitting machines are installed to prevent making the first-floor dark.
*the most advanced weft-knitting machine which produce three dimensional knits without seams or sew.
- Yamashita
- We have increased demand for knit tops, outfits, and other product items. Each time we have trouble catching up on production, we get one more machine of each type. Since we have added a small and large WHOLEGARMENT, we now have three of each. Once we have more machines, we want to use them continuously. But we keep in mind to make samples, even though we know the importance of keeping pace with production.
—— You mean making samples, which are weaving experiments, right?
- Yamashita
- We are increasing use of the machines to make samples, without using all our time in production. With more machines, we can produce more. So, even though more production increases the workload for the final processes, we gain more time to create samples.
—— Would you tell me about your new challenges?
- Yamashita
- About weaving, we start by combining different coloured threads out of stocked in the laboratory. The combination of 3 or 4 lines makes it more interesting than using only one kind of thread.
—— I see.
- Yamashita
- But the most challenging part is that we never know if the combinations of threads give us satisfactory results or not. So we take time to work with such considerations.
—— Have you ever had any good unexpected results?
- Yamashita
- Yes, we have. We randomly pick colours and weave one small sample initially.
—— Do you pick the colours, Mr Yamashita?
- Yamashita
- Yes, I do with some designers. It is interesting to examine the experimental fabrics with fascinating textures by touch through weaving combinations of different threads. We feel so many possibilities there. When you hear the word ‘Designs’, you may have ideas of outfit shapes, but we start designing combinations of threads.
—— I see.
- Yamashita
- That’s why we are offering products that other companies don’t have.
Mr Yamashita has been making outfits in the apparel industry for a long time. He has known many different kinds of fabrics with his actual experience since he was young.
- Yamashita
- At the first company I worked for, they were concerned about selections of original cotton. So I like to focus on making an effort of being particular about that. At the stores, I checked the fabrics then check the designs to ensure textures. I have been doing this for a long time. Yeah, I still do it when I go to the outfit stores.
—— You understand by observation and physical examination.
- Yamashita
- There are some unique textures and materials made periodically back in the old days I have seen.
—— I see.
- Yamashita
- I wonder why we can’t make them today. It may sound illogical, but I feel special when touching my woven products with my selected threads. At that moment, I am aware that I have never felt such a sense of touch before. So when I discovered that I created new products, I was very excited and wanted to tell everyone.
—— I see. They must be the very first creation in the world.
- Yamashita
- Most people who only have a general understanding wouldn’t notice any difference, but it is utterly different for me.
Tamaki’s passion for developing softer shawls is similar to his tireless pursuit of unknown textile touches.
- Yamashita
- I basically like old clothes. So, having with my ideas about old-fashioned garments, I have been making modern clothes with the background images of the old days.
—— You are the type of person who digs deeper into your work.
- Yamashita
- I have been researching cotton, twisting conditions of threads, and whatever I could.
—— You are pretty diligent.
- Yamashita
- Because old clothing was created using designs when their means were lean. It made me think about why they designed them that way. Why do they put pockets here? I don’t know if I am right, but I examine them one by one and incorporate them into my designs after convincing myself. For example, I questioned why they used indigo dye for denim.
—— You still kept searching?
- Yamashita
- Yes, I have. I wouldn’t say I like designing only at the desk. I make patterns on my own.
—— I heard you have started using the threads of uneven dyes, which were dyed last year.
- Yamashita
- Actually, we already started using it a few years ago. We tried to make it and considered if such a thing could become popular for customers.
—— It was too innovative, right? (laugh)
- Yamashita
- That’s right. (laugh) It looks interesting, but we wondered who would want to wear it. We didn’t have an online shop yet at that time.
—— Oh, I see.
- Yamashita
- There were fewer people whom we could show our products to than now. Due to the limits, it was kind of an experiment that those products which are used dyed thread products would be acceptable. After we started our online store, we had more chances to display our products to customers. This increased those who purchased knit products, and we can challenge more things.
—— Putting up products on the online shop, you could get customers’ responses directly, making it easier for you to try more challenges.
- Yamashita
- That’s right. We have been making one-item products, and we can appeal to our unique products by knitting with randomly dyed threads. They make a distinctive difference.
—— I see.
- Yamashita
- I think that the products with dyed threads are the strength of our brand.
—— I see.
- Yamashita
- We depend on ‘accidents’. Even though we use the randomly dyed threads, how designs appear is different by knitting timing. I think that is an interesting point. Because of the random nature, we can’t calculate to get specifics; it just happens to create various designs.
—— I see.
- Yamashita
- The products we feel are exciting sell out quickly online. So we are excited about such quick responses.
—— You never know how they look until you see the final products, right?
- Yamashita
- Yes. Even though threads are not uneven dyes, we braid with four different colours, which we don’t know how colours are blended until they come out from the machines.
—— How far can you estimate? Such as designs?
- Yamashita
- I guess we can until the process of creating shapes.
—— So colours are dependent on chance?
- Yamashita
- We have some images of the items in mind. But using each thread for each item, we find out how it comes out at last, or even though we think we blend with challenging colours, we often find out the final item has colours with a more relaxing atmosphere.
—— That sounds fun. You would be thrilled, not just excited. (laugh)
- Yamashita
- I am so thrilled. (laugh) In the beginning, Ms Tamaki used to knit with the machines. I was mentored and learned a lot. I know how to select threads quickly now, but it was trial and error in the beginning. This year, I have been using coloured threads that we dyed here. We can have experiments because we are making one-item products. We couldn’t enjoy having experiments if we have to have mass production of the same items.
‘Dye’ × ‘Weave’ × ‘Sew’……when you multiply by each team experiment, the extension of possibilities for one-item productions of ‘tamaki niime’ is limitless.
- Yamashita
- Every time you make one item, you change thread colours. That proves to be exciting but challenging because you never know what colours come out. If you focus on pushing for the widespread sale of products, we couldn’t play with colour combinations. That would be the context.
As Ms Tamaki used to say, if we follow the original path, mass production of the same quality, we can’t focus on each customer. So instead, we have to use methods that assume people of the greatest common denominator.
—— If you try to make products that could be acceptable to a broader audience, you would tend not to take risks but instead follow more favourable trends.
- Yamashita
- You are exactly right.
—— For instance, if you create a ‘unique colour’ item, one out of 100 people may like it. You would be happy if that one person understands its attractiveness and buys it, right?
- Yamashita
- Yeah. We can’t say for sure that at least one person likes it, but assume someone may like it because some people understand such creativity.
—— That is a big motivation for you.
- Yamashita
- That is our strength of creating things. So we would like to increase our fans.
—— One-item creativity! Each one is different, and each one is special.
- Yamashita
- Even though there are no correct answers in creations, we have our imagination. So we are happy if people understand, enjoy, and come to purchase. Having so many clothes in the world, I think it’s possible to enjoy creating clothes or convince people to want them if we express our creativity clearly.
—— You mentioned before that you want to communicate with people by making clothes because clothes are a common world language. So having our online shop helps to make ‘tamaki niime’ products known to the world without borders.
- Yamashita
- It undoubtedly creates more opportunities for people to understand, but I wish more people would know more. I dream that our brand becomes a
- Yamashita
- world brand from Japan
. That’s why we want to send more messages to the world.
—— I see.
- Yamashita
- I want many people to know the ‘tamaki niime’ brand and enjoy it. For example, when we had a ‘SPIRAL’ event in Aoyama, Tokyo, one customer became a fan of one-item, and she has been buying our items ever since.
—— Did you talk to that customer?
- Yamashita
- Yes. I did. She initially liked vintage one-item clothes. She came to the event four out of the eight days. One-item products seem very special to her because she can’t have the same one if someone buys them.
—— It looks like a once-in-a-lifetime chance for customers and items.
- Yamashita
- That’s why I enjoy talking to customers. I try to tell how I feel and think about one-item products. Then, keeping one favourite item on my mind in the exhibition that day, I recommend customers to buy it. That’s why there is unique customer service because of one-item products. It’s fun to have conversations with customers. I have fun creating and talking to customers. I genuinely enjoy all aspects of this business, such as creativity and customer service.
—— Even customer service, one-item products have a particular way. Have you done customer service before?
- Yamashita
- Yes, I have experienced customer service and also sales. I worked at the cutting company, in-finish company, and in a factory folding T-shirts for a week because I wanted to know all about the apparel industry, including how workers think about their jobs. At the in-finish companies, I put various company tags, inspect them, and put them in bags and boxes. I wondered how they felt doing such tasks daily if they were enjoying their work. So I joined in and did everything to get to know them. When I worked at the embroidery shop, they readied my desk for work, and I made designs there.
—— You had many experiences concerning manufacturing things and learned first hand. Mr Yamashita, your experiences and knowledge are outstanding. I understand how much you are eager to explain to your young staff.
- Yamashita
- After all the experiences, I was fortunate to meet with Ms Tamaki and Mr Sakai. I am so happy to work with them.
—— Mr Tou mentioned making daily household items or daily necessities such as aprons. Are you working on them?
- Yamashita
- We have been making aprons, umbrellas, slippers, or loungewear for a while and adding more items.
—— You have been making lifestyle-based ideas more specific. ‘tamaki niime’ makes creating your wish-items come true. Are most requests and wishes from women?
- Yamashita
- Yes. I think so. I am responding to their requests; our female staff work to weigh their requests and give us suggestions. For me, I am particular about ‘clothes’.
—— You want to be committed to the details of clothes.
- Yamashita
- It is because I think I like clothes. (laugh) And I want to have more male customers.
—— Because you used to work in men’s clothing.
- Yamashita
- Yes, I did. ‘tamaki niime’ now has more images for female customers, but I want to change to get more male customers. I don’t want to change our creative ways, but I want more items for men to dress up as well.
—— Talking about men’s clothes, you could revisit your origin. Banshu-ori has a history that they used to make materials for men’s shirts mainly. I wonder if you could add your creative touch to it. I want you to develop men’s clothes as one of the significant shares of the future ‘tamaki niime’ products.
- Yamashita
- Yeah, I would like to.
—— At last, would you share your ambition and goals with us, please.
- Yamashita
- Well, I have not only been weaving but working on many designs. I want to take advantage of all my experiences and share my knowledge with people worldwide. My reason for getting into the apparel industry was that I wanted to connect with people worldwide through clothes. I have enjoyed this since I was young, and it hasn’t changed since. If you ask me what my goal is, I don’t know yet, or can’t see it at all. I want to make goals now and move forward.
—— I want you to know what your goals are.
- Yamashita
- My goal is the passion I had when I started into this industry in my youth. That is where I want to achieve my goal. Towards that goal, I want to challenge many things at ‘tamaki niime’. I want to send my creations which only ‘tamaki niime’ can make possible. I want to set up new ways of creativity and send them forward to people worldwide.
Due to traditional methods of consumer consumption, there is a problem with overproduction and quality with similar fashion. Even now, ‘tamaki niime’ creates and sends out their one-item products to meet current needs. They are focused on increasing production, to challenge the many possibilities.
‘One-item products’ have a precious one to one relationship with a creator and a consumer, that is, the one and only.
The brand’ tamaki niime’ has the potential to change the manufacturing system in the uncertain future, which may be a historical paradigm shift.
That’s how I felt from the conversations with Mr Yamashita, who knows all about the apparel industry and devotes all his energies and pursues his dreams at ‘tamaki niime’.
Original Japanese text by Seiji Koshikawa.
English translation by Adam & Michiko Whipple.